20010121

米ブッシュ政権の成立についての談話

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


1、米国のブッシュ新政権が20日、発足しました。投票から当選確定までの長期・未曾有の大混乱が、ブッシュ政権と21世紀の米国の危機、困難を象徴しています。

2、その内外政策はこれからです。それはこれまで同様、大統領が替わったからというより、内外情勢に迫られて対処するという側面が強いわけです。
 経済は、半年前とも、ブッシュ当選の2カ月前とも、すっかり様相が違っています。FRB(連邦準備理事会)のバブル経済軟着陸のための誘導政策はコントロールを失いつつあります。年頭に、急きょ2回の利下げがおこなわれましたが、新政権の緊急課題となっています。市場開放・自由貿易推進など他国に困難をしわ寄せする攻撃はいちだんと強まるでしょう。なによりも年間4000億ドルの経常赤字問題でドル暴落の危険が迫っています。
 対外面でブッシュ大統領は、「中国は戦略的競争相手」と政策見直しを表明しています。中国を旧ソ連のような世界規模での「敵」とさせないことが、米国の最大の課題です。その中国の経済発展、強大化が速いテンポですから、米国は対応を迫られてます。これまで以上に、「台湾問題」を対中国の抑止と関与の手段とする方向です。朝鮮政策でもある程度の調整があるでしょう。
 東アジアは戦争の危険も排除しない緊張傾向が強まると見ています。

3、日本には、これからは「力の共有」で「大国としての自己責任」を求める姿勢といわれています。さっそくというか森政権は先日、米国との間で官民での経済や金融を含む総合的戦略的な調整のための「日米安保協議」を進める方針を決めました。危機に直面する米国を経済や金融、あるいはドル体制を支え、また軍事面でも米国にとっての英国のような特別な同盟関係になるという方向です。
 ところがこの重要なときに、民主党の鳩山代表らは、「集団的自衛権」行使やPKO(「平和」維持活動)全面参加、さらには憲法改悪など、米国の対日要求とまったく闘おうとしないばかりか、むしろそれにこたえる方向を鮮明にすることを政権獲得に結びつけようと考えている節すらあります。
 共産党も同様です。先日、志位委員長が訪米希望を表明し、米国民主主義を賛美しました。かつて社会党の土井委員長(当時)が訪米し、民主主義を賛美したことを思い出したのは私だけでしょうか。社会党は、直後に安保条約を容認し、そして93年に政権に入った。志位氏は同様なことを狙っているのでしょうが、まさに一度目は悲劇、二度目は茶番です。これらの党は、真剣に全局のこと、国の進路を考えておらず、日米関係を党利党略の具にしています。50年間の自民党と同じです。

4、日米安保条約締結50年の今年、日米関係は本当に正念場です。自主性のない日本、米国の植民地のような経済・金融に不満と危機感をもっている人びとが広範に存在しています。わが党は、こうした人びと共に「日米安保破棄、アジアの共生」へと国の進路を切り替えるため、政治の転換をめざして奮闘します。