20010119

有明海産ノリ被害に関する緊急の申し入れ

日本労働党福岡県委員会委員長代行 平石 義則


 有明海における養殖ノリが「色落ち」のため、壊滅的な不作におちいっている。被害は、福岡、佐賀、熊本三県にかつてなく広がり、有明海沿岸のノリ養殖漁民や関係業者に大きな打撃となっている。
 直接の原因は植物プランクトンの大量発生による窒素濃度の極端な低下といわれているが、今後大きな気象変動がない限り、今年産のノリ養殖は絶望視され、ノリ養殖漁民の当面の生活だけでなく、今年秋以降の養殖業の継続も不安視されている。
 そうした中で、かねてから懸念されてきたように諫早湾の締切り・干拓工事による海流の変化、海水の汚濁の進行などが原因として指摘され、年はじめから関係漁民の抗議行動が続いている。
 被害にみまわれているノリ養殖漁民の間からは「長年やってきたが、ここ数年海流が変わった」と干拓工事との関連を指摘する声が多くあがっている。福岡県有明海漁連は、組合長会議で、九州農政局に対して諫早湾干拓事業の中止と排水門の開放などを要求することをきめた。佐賀県東部七漁協も同様の要求を提出している。また、ノリだけでなくここ数年、アサリ、タイラギなども不漁続きで、有明海全体の生態系の変化が指摘されており、徹底した調査と原因の究明とともに漁場の再生が求められる。
 また、凶作のために多くの漁民が、当面の生活とノリ養殖の再開のめどがたたず、「資材や機械代も払えない」と途方にくれている。関係業者、地域経済にあたえる影響も甚大である。すでに関係団体、自治体も被害の実態把握や対策に乗りだしているが、わが党も緊急の現地調査をおこなった。県民の生活と営業を守る立場から、以下緊急に申し入れる。

一、県独自の原因究明と対策を早急に構ずるよう求める。
 イ、被害をうけている漁民にたいする緊急の生活資金、経営再建にむけた無利子または低利の融資制度などを県独自に新設すること。
 ロ、ノリ資材や機械関係業者の経営悪化にたいしても同様に県独自の融資制度を新設すること。
 ハ、被害をうけている漁民のうち就労希望者にたいして緊急の就労事業等を実施すること。

二、県として政府にたいして以下申し入れるようもとめる。
 イ、被害の原因として疑われている諫早湾干拓事業について、当面の事業の中止と排水門の開放を政府にもとめること。
 ロ、農水省が設置する「対策本部」で原因究明のための調査がなされようとしているが、そのメンバーには、諫早湾干拓事業を所管する同省農村振興局農地整備課が入っており、これでは被疑者が入った犯人探しのようなものといわれてもしかたがない。公正で客観的な判断が下せる第三者機関の設置を求めること。

以上