20001215


民主党 緊急事態法 PKO改革を提案

米戦略にそった軍事大国化あおる

安保条約破棄 独立自主の国の進路を


 民主党は、自衛隊が海上警備などを行える「領域警備」を容認する緊急事態法原案や武器使用を拡大する国連平和維持活動(PKO)改革案を相ついで発表した。今回の二つの案は、自衛隊を軍隊として平時からいっそう活用でき、海外派兵をより強力に行うようにするものである。このように民主党は、米国がわが国に集団的自衛権の容認、PKOへの全面参加を求めたことに呼応する対米追随であり、軍事大国化の道を推進しようとする政党である。労働者をはじめ中小商工業者など勤労国民は、民主党にだまされず闘おう。


 民主党緊急事態法制検討プロジェクトチーム(伊藤英成座長)は十一月二十九日、自衛隊が有事以前に出動できる「領域警備」の容認や治安出動の武器使用基準の改正などを明記した「緊急事態における法制のあり方」をまとめた。 また、同党のプロジェクトチームは十二月七日、国連平和維持活動(PKO)について、参加五原則(停戦合意の存在、受け入れ国の合意、活動の中立性など)を緩和し、国連平和維持軍(PKF)の本体業務へも参加できるよう主張するPKO改革案をまとめた。
 民主党の鳩山代表は、集団的自衛権を明記するために憲法改悪とPKO参加五原則の緩和による海外派兵を繰り返し、求めてきた。
 その鳩山代表は十一月二十九日、「平和執行型の強制力が強いPKOに対しても、日本は道を開いていくべきではないか。…平和執行型(のPKO)のために柔軟な武器使用があるべしとなれば、憲法改正の論議が必要ではないか」と、これまでの監視型のPKOから脱却しPKO全面参加を強く求めた。同時に改憲も要求した。
 これらは、米国の要求する「日米同盟を米英同盟並みにし、集団的自衛権の容認、PKOへの全面参加」(アーミテージ元米国防次官補らによる提言)に呼応するもので、米国との戦争協力を一段とエスカレートするものである。同時に、わが国の軍事大国化を進める危険な策動である。
 その米国戦略の基本は「東アジア戦略」であり、東アジアでの米国益を重視し、強大化する中国を第一の敵として関与・干渉するというものである。
 だが、朝鮮南北首脳会談以降の朝鮮半島情勢の流れは、米国の思惑を超えるほど緊張緩和・統一への動きが進んでいる。韓国でも在韓米軍撤退を求める運動が高まっている。
 また、そうした情勢の進展は、アジア各国の米国離れを促進している。そのため米国は、東アジア戦略の調整を迫られている。
 しかも米国は、相対的地位の低下から単独ではその戦略を実現できず、日本のさらなる協力を要求している。

民主党にだまされるな

 民主党の動きは、これに呼応したもので、自民党に負けず劣らずの対米追随ぶりである。同時に、日本の軍事大国化を進めるものでしかない。
 こうした民主党を支持することは、わが国をいっそう日米軍事同盟・アジアに敵対する道に引き込むことになる。 とりわけ連合指導部は、選挙において民主党基軸とし、労働者に民主党を支持させており、まさに犯罪的行為でしかない。
 このように民主党は、財界のための政治を支える党であることは明白である。
 労働者や活動家は、この民主党にだまされず、連合の鷲尾ら指導部の犯罪的役割を打ち破り、こうした危険な動きに反対し、闘おう。
 そして労働者階級は、中小商工業者、農漁民など勤労国民と連携して、国民運動を基礎に統一した力で政治変革を実現しよう。


鷲尾連合会長が「安保評価・日米基軸推進」

 連合の鷲尾会長は、2001年のサンフランシスコ平和条約50周年記念事業、「A50」実行委員会に参加し、財界と共に対米従属関係をさらに強化しようと策動している。月刊「連合」に大河原良雄実行委員長(元駐米大使)との対談を掲載した。以下、抜粋。

鷲尾―過去の労働運動を振り返ると、一部のリーダーが全面講和を唱えたし、60年安保のときには完全に安保条約反対だった。しかし、連合の方針としても、日米安保の戦後日本にあたえた功績を正しく評価しようということになっている。
大河原―米国はアジア政策を考えるとき、日本が一番の基軸の国だという考えが非常に強い。米国がそう考えていることを念頭に、われわれもアジアの問題を考えるにあたって、米国との緊密な連携を保ちながら努力を重ねていくことが大事だと思います。
鷲尾―北東アジアの平和の問題ですが、日米の協力があってはじめて北東アジアの平和と安全はつくりあげられる。


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