20001115


公明党大会 自民追随に不満続出

支持基盤との矛盾が激化


 森政権は、周知のように末期症状を呈している。国民の不信による政権の汚名と泥を、連立を組む公明党もモロにかぶらざるをえない。先の公明党第三回大会は、党の支持基盤が危機感を募らせ、党との矛盾が深まっていることをはっきりと示した。大会は、自民党政治を与党として支えてきた一年間を自画自賛、さらに自民党にすり寄って彼らを支え、悪政を続けることを決定するためのものであった。しかし、代議員発言は執行部によって事前チェックを受けていたにもかかわらず、地方代議員を中心に、激しく執行部が追及される展開となった。最大の支持母体である創価学会も、公明党に不満を募らせているが、神崎執行部はあくまで自民党を支えようとしており、公明党とその支持基盤とのいっそうの矛盾の激化は避けられない。


「連立維持」にヤジと怒号

 大会では、今後も自公保政権を維持し、「連立第二期をめざす」という執行部方針に対し、厳しい批判が噴出した。
 「(連立では)『公明党の中道主義の政治が生かされていない』との声がある」(千葉)、「自公保政権に対する国民の支持率が極めて低い。一年が経過しても状況は変わらず、むしろ支持率は悪くなっているとの声もある」(山形)、「森首相の『神の国』発言や『日本人拉致(らち)問題に関する第三国発言』、中川前官房長官のスキャンダルなどへの公明党の対応は、自民党の『弁護役』に終始している感じがする」(和歌山)など。
 こうした発言には、会場から「そうだ」「その通り」という賛同の声があがった。
 こうした雰囲気について、商業新聞でさえ「身内から怒声、ヤジ 森政権へ不満爆発」(神奈川新聞)と書いたほどである。
 これに対し、神崎執行部は「連立の維持に心を砕いてきたので公明党らしさ、存在感を表に出すことを差し控えてきた面がある」(神崎代表)、「党員・支持者の皆様が『もっとはっきり言え』と、いらいらされていることも十分分かる」(冬柴幹事長)と、自民党に追随してきたことを認めざるを得ない。このような発言に対しては、すかさず会場からは、「そんなこというからバカにされるんだよ」とヤジが飛んだ。
 公明党は「三党連立はわずか一年で多くの実績を上げてきた」(冬柴幹事長)として、あっせん利得処罰法、「循環型社会の構築」、公共事業改革などを引き合いに出し、「政治の質を変えた」とまで自画自賛している。
 しかしこのような自民党からの「おこぼれ」(しかもペテン的なもの)は、わずかなものでしかない。自民党からの「おこぼれ」と引き換えに、公明党はもはや総選挙で一七%程度しか支持を得られず、単独では政権を維持できない自民党の悪政を支え続けているのである。

安保・外交でも危ぐの声

 安保防衛問題についても、危ぐの声が出された。
 「重点政策(案)では現行のPKO(国連平和維持活動)協力法の見直し問題に関して『あくまで憲法の枠内で、どうすれば、より的確な対応ができるかについて、引き続いて検討を加えていく』としているが、これではPKO参加五原則を見直すのかどうかはっきりしない」(大阪)。
 これに対し、北側政審会長はシドロモドロに「あくまでも憲法の枠内が大前提。その上でこのような事態にどう的確に対応するのかを検討していきたい」と答えた。
 しかし、公明党は憲法問題について、昨年七月の「十年をめどに国民的な議論を展開していくべき」という方針を転換、「憲法調査会での五年をメドとした論議の方向を踏まえ、次の五年で第一段階の結論を出すべき」と、事実上の改憲路線に踏み込んでいる。
 また、国会に提出された新ガイドライン関連法である船舶検査活動法案にも賛成、戦域弾道ミサイル防衛(TMD)構想推進を打ち出している。公明党の「平和・人権の党」はペテンであり、自民党の対米追随・アジア敵視の軍事大国化路線をを支持していくことに、下部から危ぐが高まっている。

参院選に高まる危機感

 来年夏の参議院選挙についても、「『日常活動の質的強化』という抽象論で、『比例区の一千万票』を目標に掲げるのはムリ」(神奈川)
という批判が出された。
 六月総選挙における公明党の比例区票は六百七十六万票であるが、支持率が一〇%台と超低空飛行する森政権を支え、国民犠牲の政治を助ける公明党は、森首相と共に泥水をかぶり、より強い批判にさらされるであろう。
 執行部はインターネットの活用や出版物の発行などをあげて理解を求めたが、「政党としてき然とした態度を示すことこそが無党派対策だ」というヤジが飛ぶのも当然である。

創価学会も苦言を呈する

 すでに創価学会は、六月の総選挙直後、「『神の国』発言には、現場には『もう少し何とかならないか』との声が結構あった」などと苦言を呈している。
 大会後の六日、公明党は支持母体である創価学会と意見交換したが、ここでも公明党は不満の声にさらされた。
 野崎創価学会副会長は、
「なぜこういう不手際の続く内閣と連立を組んでいるのかという悪い印象を受けている」「支持者の中には、内閣にもっと言うべきことを言うべきだという注文がある。連立の中でチェック機能を果たすようにしてもらいたい」
などと注文をつけた。中小商工業者や未組織労働者などを基盤とする創価学会内に、深刻な公明党への不満があることの証拠である。
 神崎代表は大会で、「連立二年目に入ったこれからこそが『改革の正念場』であり、公明党が真価を発揮すべきとき」と述べている。
 しかし、自民党のお先棒をかつぎ、悪政を推進するという公明党の「真価」はすでに十分「発揮」されている。自民党政治を支え続ける限り、その正体はさらに暴露されるであろう。そして、公明党への内外の批判は、今後もさらに高まるに違いない。


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