20001105


公明党大会

激化改憲、海外派兵など一段と反動化

「平和・人権の党」はペテン


 公明党は十一月四日、来年の東京都議選、参議院選を視野に、第三回全国大会を開催した。大会では、引き続き自民党との連立政権を維持することを目的に、憲法や自衛隊の海外派兵強化など、一段と反動的方向を打ち出した。これは国民から見放された自民党を支え、多国籍化した大企業のために国民大多数に犠牲を押しつける悪政を推進する犯罪的な役割を果たすものである。自民党がその支持を失ったように、やがて公明党も支持者から見放されるであろう。


 森政権は、中川官房長官の辞任、日本人「拉致(らち)疑惑問題」での第三国発言など問題が続出し、与党内からさえ批判の声が高まっている。また、KSDによる自民党党費立て替え、巨額の政治献金問題もあり、ついに内閣支持率は一五%と末期症状を呈している。
 この末期症状の森政権を支えている最大の支柱が、他ならぬ公明党である。
 公明党は、総選挙後、創価学会の批判、来年の参議院選挙を計算して自民党とある程度距離を置くポーズを示してきた。大会議案でも「新たな国家主義の台頭を許してはならない」と森首相の教育勅語発言をけん制している。
 だが、「来夏の参議院選挙で与党が過半数割れしても、連立の枠組みは変わらない」(神崎代表)と、連立からの離脱は考えておらず、そのため、今回の大会では憲法改悪、自衛隊の海外派兵の強化など一段と反動的な方向に踏み込んだ。

日米基軸を最重視

 公明党の議案(運動方針案、重点政策)では、「日米関係は、わが国外交の基軸である」とし、「日米ガイドライン関連法の成立で、日米信頼関係がより一層堅固なものになり」、北東アジアの戦争に「抑止」が働くとしている。ここでは、東アジアにおける日米安保協力を高く評価し、米国の東アジア戦略に追随することをうたっている。 これを前提に、朝鮮民主主義人民共和国に対し、「国際社会に引き入れるため」にあらゆる努力を傾ける必要があるという。北朝鮮を「無害な国にする」という米国の北朝鮮関与政策とまったく同じである。
 また、中国に対しても、「中国の軍事力増強がアジアにおける脅威にならぬよう、その動向を注視」するとしている。ここでも米国の対中政策と同じである。
 対朝鮮、中国外交にしても安全保障政策全体にしても自民党を支える見事な与党ぶりである。

PKF凍結解除、TMDも要求

 また、公明党大会議案では「公明党はわが国に根強かった『一国平和主義』からの決別を主張し、『世界平和主義』の立場に立って、わが国のPKOへの参加をリード」するとしている。
 これまで公明党は、憲法九条のかかわりから、「PKO参加五原則(停戦合意の存在、受け入れ国などの合意など)」の見直しには消極的だったが、大会議案ではPKO五原則の見直し、「凍結されているPKFは、解除されるべき」と、連立政権維持を優先し、自衛隊海外派兵に積極的な方針に転換した。
 さらに、今国会に提出されている新ガイドライン関連の船舶検査活動法案はについても、前回は自民党と対立したが、今回はついに賛成した。法案では後方支援の一つとしているが、現代の戦争においては前方も後方もなく、米軍への戦争支援であり、憲法で禁じる集団的自衛権の行使に他ならない。しかもこの検査に際しては、武器使用も認められており、明らかな戦争行為である。
 驚くべきことに「隣国の軍事的挑発に対応するためにミサイル防衛が領域保全のために必要」と中国や北朝鮮を敵視するだけでなく、軍事挑発を行っていると描いている、
 そして「戦域弾道ミサイル防衛(TMD)は、怠らず準備する必要がある」と明記し、中国や北朝鮮だけでなくアジア諸国から反対されているTMDまで推進しようなどとは、自民党も驚く対米追随ぶりである。

改憲に踏み込んだ公明党

 今回の方針における特徴の一つは、改憲に公然と踏み込んだことにある。公明党は「衆参両院での憲法調査会での五年をめどとした論議の方向を踏まえ、次の五年で第一段階の結論を出すべき」と改憲を打ち出した。
 その憲法調査会は、自民党、民主党など改憲派が多数を占めており、改憲の地ならしであることは、火を見るよりも明らかである。公明党は「憲法九条は堅持する」などと述べているが、調査会の議論を踏まえた結論は、改憲に他ならない。
 昨年七月の基本政策では「十年をめどに国民的な議論を展開していくべき」としており、そこから大きく改憲に踏み込んだものである。
 さらに、「自衛隊の防衛出動に際しては、超法規的なものではならないのは当然」とし、「自衛隊出動が伴う緊急事態への対応措置として、防衛出動法を整備するよう提案する」と有事法制にまで言及している。

広範な共同で政治変革を

 公明党の大会方針は、「平和・人権の党」の看板の下に、連立政権を維持し、改憲、軍事大国化の道を突き進むことを鮮明にした。これは、保守政治を支える連立政権を維持しようとすれば当然だが、この公明党の方針は、決してその支持者を納得させるものではない。
 こうした公明党の政策は、支配層の狙い通りであり、公明党の支持層の利益とは相反するものでしかない。自民党が、支持基盤である農漁民、中小商工業者に犠牲を押しつけ、支持を失ったように公明党も同じ末路を迎えるであろう。
 自民党政治を支える公明党の裏切りは明白である。だが、民主党などの野党も当てにはできない。次々に勤労国民を裏切る中間政党への幻想を捨て、労働者階級を先頭に国民諸階層は、広範に共同し大衆行動で闘おう。そうした闘いこそ、政治変革を実現する確かな保証である。


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