20001015


民主党 新体制のもと、参院選めざし

自民党顔負けの改憲キャンペーン


 民主党は、先の九月の大会で鳩山由紀夫代表や菅直人幹事長などの新体制を整えた。その後、鳩山代表と菅幹事長は相呼応して、国会審議などにおいて意図的に憲法改悪キャンペーンを強めている。来年の参議院選挙を意識して、自民党との違いを鮮明にするという計算もあろう。いずれにせよ、本質的には米国の東アジア戦略につき従い、またわが国の大国主義化の道をめざしている。その反動ぶりは、まさに自民党顔負けである。財界の政治を支える民主党にだまされることなく、労働者階級は国民諸階層の先頭で政治変革のために闘おう。


 最近の民主党の特徴は、鳩山代表らの改憲、海外派兵キャンペーンの強化、そして菅幹事長がかつてなく鳩山氏と合唱している点である。
 すでに鳩山代表は昨年来、徴兵制導入、憲法九条改正などを繰り返し主張してきた。菅幹事長もここにきて自衛隊は軍隊だと同調し、「専守防衛の自衛隊は憲法九条で位置づけられている」と明言している。
 そして菅幹事長は「憲法がきちんと現実の行政、政治に向いて動いていない。不磨の大典ではないから、国民の意思で時代に対応できるように変えるべきだ」と述べている。
 改憲の手口として「国民主権を機能させる手だてとして、首相公選制があってよい」というように、首相公選制を入り口に改憲を狙っている。
 この首相公選制は、自民党若手グループの主張と軌を一つにした動きでもある。
 
海外派兵を強く要求

 海外派兵のキャンペーンもまた、最近の彼らの特徴である。
 鳩山代表は「国連平和維持活動(PKO)参加五原則を厳しく適用すると、東ティモールに自衛隊は行けない。新たな考え方をつくらなくてはならない」として、九月二十八日の民主党ネクストキャビネットの外交・安保部門会議でPKOのあり方を検討するプロジェクトチームを発足させた。そして、そこでは(1)停戦合意の存在、(2)受け入れ国などの合意、(3)活動の中立性原則について「憲法にとらわれない議論」を求めた。
 この道は憲法が禁じる武力による紛争の解決や集団的自衛権をくつがえし、自衛隊が好き勝手に海外派兵できるようにするためのものである。特に鳩山代表が検討を求めた三点は、停戦していようが交戦中であれ、相手国が受け入れを認めようが認めまいが派兵するためである。しかもPKOの中立性さえ、かなぐり捨てるというものである。
 これこそ、民主党が自民党顔負けの対米追随で米国の東アジア戦略につき従うこと、大国主義化を狙う政党であることを明白に示している。
 この民主党の安保・外交政策は自民党とどこが違うか。そのことは「少なくとも自民党のなかでまじめに日本外交を考えている人たちと僕たちの間で、そんな大きな差はない」(枝野幸男・民主党政調会長代理)と自ら吐露している通りである。

緊急事態法制に踏み込む

 改憲、海外派兵を具体化するために有事法制どころから、有事に至る前の「緊急事態法制の整備」とさらに踏み込んでいる。
 ここでいう緊急事態法制とは、戦争状態である有事に至る前の緊張状態などに対処する法制のことである。
 「緊急事態法の一つの柱は、日本有事の際の米軍の行動に関わるものである。わが国有事における日米協力の実効性確保は未整備だ。自衛隊の行動に関わる法整備と併せて、米軍の円滑な行動を確保する法制とその行動を支援する法制の整備、さらに条約(日米物品役務相互融通協定や戦時接受国支援など)の改正が必要」(前原誠司・民主党衆議院議員・社会資本整備ネクスト大臣)というように、有事法制に至るまでのあらゆる事態を想定して、米国の東アジア戦略に沿ってわが国法整備を行うというものである。まさに自民党以上のタカ派ぶりである。
 この民主党にいささかの幻想ももってはならない。鷲尾など連合指導部は、選挙における民主党基軸方針を強めようとしている。来年の参議院選挙に向けて地方組織、地方議会での民主党強化のために連合推薦地方議員の民主党への参加などを露骨に強制しようとしている。連合指導部が組合と組合員を民主党のために動員しようとするのは犯罪的方針である。
 労組活動家など闘いの前進を願う人びとは、連合の方針を打ち破り、共同して政治変革のために闘おう。


これが彼らの改憲発言など

鳩山「任期の二年間に、民主党は憲法にこういう考えで臨みますというものをつくりあげる。菅幹事長も『自衛隊は軍隊』と発言し、考えがだいぶ近寄ってきたなとありがたく思っている」(九月十三日)

「憲法がきちんと現実の行政、政治に向けて動いていない。不磨の大典ではないから、国民の意思で時代に対応できるように変えるべきだ。国民主権を機能させる手だてとして、首相公選制はあってよい」(九月十四日)

鳩山「PKO参加五原則を厳しく適用すると、東ティモールには(自衛隊は)行けない。新たな考え方を求めなければならない」(九月二十五日)


Copyright(C) The Workers' Press 1996-2000