20000925 社説


日米安保協議/ガイドライン具体化へ

反対の闘いを強めよう


 河野外相、オルブライト 国務長官など、日米両国の外交、軍事担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が九月十一日、開かれた。今回の協議は、日米安保の再定義(九六年)に基づく新たな日米防衛協力指針(ガイドライン)の決定(九七年九月)、ガイドライン関連法制など「実効性の確保」の確認(九八年九月)を引き継ぐ会合として、二年ぶりに開かれた。
 今回の協議では、緊急事態に対応するため日米の局長クラスなどによる新たな協議機関(調整メカニズム)を設置することなど、ガイドラインの実戦的な具体化で合意した。
 その他、米軍への思いやり予算について新特別協定に署名、戦域ミサイル防衛(TMD)の日米共同技術研究の継続、沖縄普天間代替基地建設推進のための「普天間実施委員会」(FIG)の早期再開などを確認した。
 今回の日米軍事結託の強化は、南北朝鮮首脳会談に代表されるような東アジアの劇的な緊張緩和の動きに対抗し、米国の東アジア戦略へわが国をいま一度しばりつけることを狙ったものである。

覇権維持狙う米国
 今回の協議では、朝鮮半島情勢について、ありもしない朝鮮民主主義人民共和国の脅威をあおり立て日米同盟の強化、ガイドライン具体化の推進の必要性を強調した。
 一方、注目すべきは中国問題やTMD研究継続についてわざわざ言及したことである。これは、中国などを対象として、いかに米国がこの地域で政治軍事での主導権を狙っているかを露骨に示したものである。
 米国はこんにち、中国を戦略的な敵として、核兵器も含め十万の米軍を前方展開する「東アジア戦略構想」を進めている。わが国は九六年の安保再定義で、このアメリカの戦略に追随することを決めた。
緊張緩和の流れに敵対
 今や、東アジアに残された「冷戦」体制は崩れ始め、南北朝鮮の関係は米国の思惑をも超える勢いで動き始めつつある。東南アジア諸国もこの動きを歓迎し、地域フォーラム(ARF)に北朝鮮代表を招請するなどしている。
 にもかかわらず、米戦略に追随し、ガイドラインの具体化を進めるわが国政府の態度は、東アジアの緊張緩和、平和の流れに真っ向から逆行し、わが国を孤立と亡国に導く最悪の選択である。森政権は、さらに船舶臨検法整備、諸有事法制、国連平和維持軍(PKF)活動の凍結解除などを狙っている。こうした方向を許してはならない。
 沖縄では、今回の日米協議で基地問題が何ら解決しないことに怒りも新たに、闘いを準備している。
 本土でも、沖縄に連帯する一連の闘い、神奈川の相模補給廠演習に対する闘い、また米軍機の離着陸訓練が強行された三沢、厚木、横田、岩国などの市長が米軍へ抗議するなど、怒りと闘いは全国へ広がっている。
 沖縄の闘いと、本土での米軍基地撤去の闘いを結びつけ、ガイドライン具体化やそのための国内体制の再編に反対する闘いをいっそう強めなければならない。


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