20000925


共産党7中総

ブルジョア政党への変質を宣言

山本正治・労働党中央委員会副議長に聞く


 共産党は九月十九〜二十日、第七回中央委員会総会を開き、規約を全面改訂し、第二十二回党大会の議案を決定した。さらに不破委員長は綱領改定まで公言している。この問題について山本正治・労働党副議長は談話を発表した。


日本共産党の第七回中央委員会総会が開かれ、次の党大会第二十二回大会の準備が始まった。その特徴は、二十二回大会で不破や志位らの指導部が共産党を「完全に月並みなブルジョア政党に衣替えすることを公式に宣言」することである。
 若干の経過を振り返ってみると、前回、九七年の二十一回大会では、自民党単独政権が崩壊し九三年に連立政権の時代に入ったもとで「共産党に安心して任せられる」、そういう現実政党に変身することを狙った。政策では、「ルールなき資本主義」を正しわが国を欧米並みにするという経済政策、外交面でも米国の東アジア戦略と闘わないといったことで、支配層に恭順の意を表明した。共産党はその政権を「民主連合政府」とごまかしたが、われわれは実際は保守党との連立政権以外にあり得ないと暴露した。
 事実、翌年九八年の参議院選挙直後に、共産党は「民主党など野党との連立政権が問題になる時期が来る。その時には共産党は政権に入る用意がある」と表明した。
 そして、今年総選挙があったが、自民党は政権の枠組み問題を仕掛けた。民主党は綱領などを変えなければだめだとハードルをつくった。もちろんその背後には財界などが存在した。しかも共産党は選挙の結果、大敗北した。史上空前の謀略的な反共攻撃に負けたと総括し、これをどう超えるかが問題になった。
 こうした二つの問題の解決が迫られて、とりあえず規約に全面的に手を着けた。こうしたことである。
 もともと信じてもいなかった「労働者階級の党」「前衛政党」などの規定を規約から完全に捨てさって、「国民の党」と明確にした。「民主主義、独立、平和、国民生活の向上、そして日本の進歩のために努力しようとするすべての人びとに門戸を開いている」党だというのである。まったく月並みな党だという宣言に外ならない。
 さらに、米帝国主義と日本独占資本が日本を支配しているというわが国現状の規定、したがって人民民主義革命によってこれをうち破り連続的に社会主義革命を達成するという考え方も規約から捨てさった。
 また、大会決議案では「有事」の際に自衛隊が存続する限り活用することを明記した。
 不破は、こうした方向で綱領を変えるとも言っている。
 だから、最初に言ったように共産党は「月並みなブルジョア政党に衣替えすることを公式に宣言した」といって間違いない。
 われわれにとっては、理論上はずっと以前から共産党がそういう党であること、実質は前衛政党でもなんでもなく、階級闘争とか、革命とかとはまったく無縁な、むしろ逆の妨害物であることは明確であった。
 だが今回は、不破・志位ら共産党指導部が自己暴露した。自ら公式に認めたという意味で、まさに画期である。

この方向は反動的で犯罪的

 「共産党らしさ」はこれで完全になくなり、あとは政策でどれだけ筋が通っているかとか、どれだけ清潔かといったことになる。他党と五十歩百歩である。なによりも、これまで「共産党らしさ」を支持してきた支持層は不満をもつだろう。不破らが狙ったようにうまくはいかない。自業自得というものである。
 だが、問題はそこではない。共産党が踏み込んだことの政治的意味、犯罪的役割である。
 この転換を支配層は非常に歓迎している。マスコミは、綱領も変えろと畳み込んでいる。
 虎島防衛庁長官は「共通の土俵に乗りうる」と、自衛隊の有事使用容認を歓迎している。日米安保新ガイドラインにそって有事体制づくりの策動が強まっている中で、共産党の「有事利用は当然のこと」という主張は敵の策動に弾みをつける。国旗国歌法制定に「立法化容認」で道を開いたように、敵を喜ばせることになる。
 もう一つ、中間政党を暴露せず、現実の反動政治を結果として支える役割を果たしている。
 新聞八ページに及ぶ大会決議案で特徴的なことは民主党に対する批判、暴露が一言もないことである。本当に一言もない。しかも、現実に自民党と連立を組んでいる公明党に対してさえも一言も批判、暴露がない。もちろん狙いは明らかで、これら中間政党との連立を狙っているということだ。
 現実に財界のための政治を支えている公明党、あるいは大銀行支援の六十兆円提唱を始め改革問題でも外交でも自民党よりもっと財界よりの政策で自民党を暴露せず妥協している民主党を一言も批判、暴露しないことで、結果として財界のための政治を支える犯罪的役割を果たしている。
 したがって今後、危機がいちだんと深まり労働運動、大衆運動が激化し議会政治体制がさらに不安定となったとき、支配層は選択肢を広げることになる。
 共産党の新路線は、誤っているのではない。まさに反動的で犯罪的なのである。

修正主義との勝負はついた

 わが党は結党以来二十六年余、一貫して現代修正主義共産党の裏切りと闘ってきた。全世界の労働者階級の闘い、特にロシア革命以来の共産主義革命運動を公然と裏切り、勝利の当てのない議会主義の道に労働者を引きずりこむものとして批判し、闘ってきた。
 そしていま四半世紀をへて、共産党の指導部自身が階級闘争や革命の観点を規約から完全に捨てさり、「労働者階級の前衛政党」であることを自ら放棄した。もちろんとっくの昔に労働者階級の前衛政党ではなくなっていたが、不破らは自称していた。その自称すら、いま、放棄したのである。現代修正主義の自己暴露が終わった。
 マルクス・レーニン主義か、現代修正主義かの勝負はついた。そういう意味で歴史的な出来事だ。
 共産党は、綱領問題などの手続きは残っているにしても、最後の一線を超えた。これからは限りない転落の道だけである。これは全世界の修正主義がたどってきた歴史である。最近では、最初の社会主義国ソ連を滅ぼしたゴルバチョフもそうだった。
 共産党内に今回の裏切りに怒りと不満をもつ人びとがいるのも事実で、そうした声も伝わってくる。だが、不破や志位らの指導部を打ち破る闘いに決起できるかどうか、これほど腐敗した党にそのエネルギーが残っているかどうか、われわれは注目している。
 共産党が、階級と階級闘争、革命の旗を降ろしても、資本主義の現実、労働者階級の現実は何一つ変わらない。
 資本主義の危機が深まったとき、修正主義が転落するのは歴史上何度もあったことである。全世界の労働者階級の闘いの歴史は、修正主義をうち破って前進し、勝利してきた歴史である。わが国の労働者階級が、現代修正主義の転落から学び、偉大な前進を闘いとることを確信している。
 わが党は、労働者階級、人民の中で革命の旗、マルクス・レーニン主義の赤旗を高々と掲げて、ますます意気高く闘い前進する。


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