20000915


新体制の民主党だが

財界のための政治いっそう鮮明に

勤労国民の敵 だまされるな


 民主党は九月九日、党代表を選出する大会を開催した。直前に同党の山本議員が詐取容疑で逮捕され国民の不信が高まった「逆風の中」での、鳩山由紀夫代表、菅直人幹事長などの新体制決定となった。そして民主党は、来年参議院選挙で自公保の過半数割れを実現し、解散総選挙に追い込み、政権をめざす方向を打ち出している。だが、「民主党政権構想」の実態たるや、現在の自公保政権以上に反動的で、国際競争にうち勝とうとする財界に徹頭徹尾奉仕しようとするものである。民主党を信用せず、闘いを発展させよう。


海外派兵、改憲を策動

 今回の大会を前にして鳩山代表は、「対米関係においては主体性のある協調路線をとり、過剰な対米依存はとらず、しなやかな日米関係の構築につとめる」(代表選立候補の公約・以下公約)とか「自前の外交戦略の確立」(代表指名受諾演説・以下演説)などと主張している。
 これは一見、対米関係でいくらか距離をおくかに思えるが、そうではない。かれらはその「安保基本政策」において安保再定義、新ガイドラインなどを高く評価し、強化される日米の軍事的協力を推進しようとしている。この点に何らの変更はない。
 しかも「民族紛争のただ中で繰り返される残忍な行為を押しとどめることに自ら積極的に関与する勇気をもつべき」「国連平和維持活動に対する役割もより明確なものにしていくべきだ。憲法の問題も含めて、安全保障の論議を加速しよう」(演説)などと、新たな日米安保体制のもとで海外派兵を積極的に行なうとする危険なものである。
 事実、菅幹事長は九月十日、「憲法を自分たちの力で変えることは必要だ。自衛隊は軍隊だ」と憲法九条の改正を示した。
 民主党は安保・外交問題では、米国の東アジア戦略に沿って、徹底した対米追随であると同時に、軍事大国化、海外派兵の道を進もうとしている。そして、そのために憲法改正をめざしている。朝鮮半島が緊張から、和解、自主的統一へ大きく動き出したこんにち、アジアの緊張緩和に逆行する危険な党である。
 台湾問題でも同様で、幹部が陳水扁「総統」就任式に参加したばかりか、最近も訪台した中野副代表が、李登輝の訪日を積極的に支援するなど、中国を分断する策動にしつように関与している。きわめて反動的である。

広がる民主党への疑問、不信

 さらに「市場原理に基づいた競争とIT(情報技術)武装によって、経済の生産性を高める。新規参入の促進と規制改革」(公約)とか「経済的敗者をつくらない『結果の平等』という幻想をばらまくつもりはまったくない。競争に参加する『機会の平等』は約束する」(公約)などと、市場万能を主張し、弱肉強食社会をめざしている。
 民主党の主張は、規制緩和や市場原理が都合のよい多国籍化した大企業、ベンチャーなどの利益を代弁するものでしかない。労働者、中小商工業者、農漁民などの生活や営業を守るつもりは毛頭ないのである。
 また民主党は、総選挙政策で「課税最低限度の引き下げ」を打ち出したように、勤労諸階層への増税をもくろんでいる。「消費税の福祉目的税化」「法人事業税への外形標準課税方式への改革」とより広範な国民への増税を画策しながら、法人税については国際水準に見合う税率などと大企業への減税を主張している。まさに大企業のための政治を支える政党である。
 民主党議員に労組出身者がいることや鷲尾など連合指導部が民主党基軸を打ち出していることから、労働組合でも民主党を支持するところもある。だが、この民主党の実態は、どう見ても労働者や中小商工業者、農漁民など勤労国民の生活や営業を守るものではない。
 したがって、労働者の間で民主党への疑問、不信は増大しており、かれらの前途は楽観できない。
 労働組合は民主党への幻想を捨て去り、かれらへの依存をやめ、自らの闘いを準備しよう。
 さらに中小商工業者や農魚民など国民各層と連携し、政治の根本的な転換のために政治的な統一戦線をつくり、闘おう。その道こそ勝利の保証である。


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