「民主党基軸」は犯罪的方針

20000805

連合の選挙方針

「民主党基軸」は犯罪的方針

勤労国民のための政治転換へ共同の闘いを

　現在、労働組合は大会シーズンの真っ最中である。各労組大会では、春闘の総括、運動方針と併せ、六月総選挙の総括なども盛んに議論されている。中でも総選挙闘争の総括は、以降の労働運動、政治変革の闘いにとって重要である。そうした中、連合は七月十三日の中央執行委員会で総選挙総括を発表した。組合員約八百万人を抱える連合の動向は、わが国の政治闘争にとっても大きな影響があるので重大な関心を払わざるを得ない。そもそも連合の「民主党基軸」方針が、根本的誤りであり、最近とみに「民主党一本化」を各組織へ強要しているのはいっそう犯罪的で、断じて許されない。連合の総選挙総括と民主党基軸の策動に反対し、先進的労働者は労働者階級のための政治実現をめざして団結と努力を強めよう。

　連合は昨年の大会で「政治センター」を発足させ、「民主党基軸」の方針で総選挙に臨んだ。そして、民主党を中心に二百七十人を推薦し、百三十五人が当選した。また、連合の組織内候補七十二人のうち四十五人が当選した。
　連合の総括は、こうした結果から民主党の「半ばの勝利」としている。
　それは、自民党の過半数を阻止し、政権交代を視野に入れる絶好のチャンスにもかかわらず、民主党は大勝利できなかったからである。大勝利できなかった理由については、①明確な政権構想を示すことができず、途中でぶれたこと、②釈明、説明しなければ分からない選挙政策、公約が多かったこと、③野党間の実効ある選挙協力ができなかったことなどをあげている。
　そして、次期参議院選挙で民主党が勝利すれば民主党中心の政権への展望がひらけるとしている。そのため民主党の地方組織の整備、地方議員の拡大が急務であり、連合は組織内地方議員の民主党入党もしくは民主党会派への参加を促進するために必要な協力を構成組織や地方連合に求めていく、と民主党一本化への締めつけを決定した。

民主党は労働者の味方か

　まず根本的問題は、民主党が労働者の味方でなく、それを連合が支持していることである。民主党は労働者の味方どころか財界のための政治を支える政党である。
　民主党は「市場原理を信頼し、自由な貿易・自由な市場経済をめざす」という。そして、規制撤廃、「小さな政府」を強調し、これらの推進で自民党を生ぬるいと批判し、事実上リストラ推進、弱肉強食社会をめざしている。　総選挙で掲げた課税最低限の引き下げなど低所得者層への増税。さらに法人事業税への外形標準課税の導入、消費税の福祉目的税化と直間比率の見直しなど、労働者、中小商工業者への大増税をもくろみ、大企業には「最高税率の引き下げを含むよりフラットな直接税の実現」と減税を主張している。
　あの銀行救済に七十兆円の血税投入も、民主党案を自民党が丸飲みして行われたものである。
　またリストラ促進法といわれる産業再生法成立に協力してきたが、その上、「雇用問題ではワークシェアリングの発想にたち、雇用政策を確立する。その際には労使が休戦協定を結んで」などと主張している。
　また、安保・防衛政策では、安保条約、米軍基地容認であるばかりか、鳩山代表が憲法九条の改憲を主張しているのはすでに知られている。　菅政調会長は七月二十一日、クリントン米大統領の沖縄演説について、「私たちの主張に対して基地縮小という意味で方向をいつにしている」などと評価している。だが、これは沖縄の実態を無視し、米軍基地の恒久化を認めるものでしかない。
　このように民主党の外交・内政のどれをみても労働者の政党ではなく、財界のための政党であることは明らかである。

労組出身議員は９％しか

　さらに、民主党の衆議院議員百二十七人のうち、連合の組織内候補の当選者は四十五人で、民主党内の約三分の一にすぎない。しかもその四十五人の出身は多様化し、労組出身議員はわずか十一人（民主党衆議院議員の約九％）となっている。民主党衆議院議員の構成からみても、もはや労働者の政党でないことは明らかである。
　連合自身、「労働組合と関連の薄い人たちが多くなっている」と言わざるを得ないほどである。

保守２大政党制策動を許すな

　民主党の選挙結果を鳩山代表は、「二大政党政治の定着に向けて大きな一歩」と評価した。憲法問題をはじめその政策は、民主党がめざす「二大政党政治」が、保革対決という意味ではなく、同じ保守の基本政策の上での二大政党体制である。連合も、この方向に「命運」をかけ、結果を「二大政党的政治体制へ一歩押し進め」たと評価し、連合としてこの方向をさらに進めることを表明している。
　米国型の二大政党制で民主党と労働運動の関係をめざすことで、民主党指導部、連合指導部は踏み込んでいるのだ。
　そのために民主党基軸で統一対応を決めてきたが、十分な成果がなかった。そこで、参議院選挙に向けては、民主党の地方組織を強化するため連合組織に対し、地方議員の民主党入党まで打ち出してきた。
　これは、民主党を支持しない労組や社民系労組を締めつけ、社民系や無所属の地方議員を強引に民主党に入党させるものであり、すでに各地で強行されつつある。
　このように連合の民主党基軸の統一対応といわれるものは、労働者を保守二大政党の一つをめざす民主党に流し込み、闘いをますます放棄させるものでしかない。
　財界のための政治を支え、保守二大政党制をめざす民主党を支持しても、労働者だけでなく中小商工業者、農漁民など勤労国民の要求を実現することは到底不可能である。

闘いを望む勢力は団結しよう

　九〇年代に入り、自民党は国民の支持をほぼ失ったことは歴然としている。だが、中間政党と連立する策略で政権を何とか維持している。この悪政を打ち破り、政治の転換を実現するのは、労働者階級を先頭とする国民諸階級の連携した大衆行動と、政治変革のための統一戦線である。国政選挙でも広範な闘う勢力による新たな準備が必要である。
　闘いを望む人びと、労働組合の幹部、活動家は連合の「民主党基軸」「民主党一本化」方針に反対し、大衆行動と政治変革の闘いを発展させよう。