20000525


公明党 連立で保守政治を延命

国民総犠牲で何が「安定・改革」政権か


 解散・総選挙が決まり、公明党は、自民党との連立が大きな成果を上げたと絶叫している。だが、公明党は国民の反撃を無視し、リストラ促進の産業再生法、ベンチャーを優先し中小企業をつぶす中小企業基本法の改悪、労働者の権利や労働条件を悪化させる労働者派遣法、商法改悪などの成立の奔走した。まさに有権者の二割しか支持のない自民党を助け、延命に手を貸して、財界のための悪政を推進している。連立を支える公明党は、労働者、中小商工業者など勤労国民に背を向けた政党である。その行為はまさに犯罪的であり、国民諸階層、とりわけ中小零細業者は、決して公明党を信用してはならない。労働者、中小商工業者は生活と営業を守るため、政治の根本的な転換をかち取るために闘おう。


「福祉拡大」の陰で増税

 総選挙を前にして公明党は、盛んに「保守・中道政権こそ安定・改革政権」と主張し、連立の成果を全面に押し出して訴えている。だが、国会の過半数を占める与党形成で、どんな政治が行われたのか。それは、国民の切実な要求を踏みにじり、国民総犠牲の政治が強行されたのである。
 つまり、そういう悪政推進の一角を占める公明党は、少しでも危機感を隠そうとこまごましたペテン的な「成果」を誇示している。例えば、かつての地域振興券、少子化対策・駅前保育園などがそうであり、最近は、児童手当拡充がそうである。
 機関紙公明新聞が「児童手当改革 なぜ必要なのか」の連載を組むなど、異常に力を入れている。
 だが、児童手当改革なるものは、より多数の世帯に増税を強いるペテン的なものであり、児童手当法は五月十九日、成立した。
 公明党の要求で実現した児童手当は、六月から対象を現在の三歳未満を小学校入学までに延長し、給付額を第一子、第二子までは月額五千円、第三子からは一万円になるという。これによって児童手当は二百五十六万人から五百七十万人に拡大する。さらに、将来的には十六歳未満までに拡大し、月額も倍にしていくという。
 だが、この財源は年少扶養控除を減らすことでまかなうものとなる。その結果、手当支給の所得制限によって年収が自営業者で四百八十万円以下、勤労者で七百十二万円以下の世帯は、その恩恵に浴することになるが、それ以上の収入のある世帯、また、小学生から十六歳未満の子どもがいる世帯で、実に一千数百万人が増税の対象になるになる。つまり千数百万人いる世帯の財布から約三百万人の世帯の財布へ手当を移すのに過ぎない。
 一部の手当拡大の裏に、より多くの世帯への増税があることを覆い隠している。まったくのペテンである。
 さらに、国の負担はほとんどない。公明党はここを何ら問題にしていない。
 公明党が絶叫している児童手当の改革は、このように国民のより多くに増税を押しつけるものでしかない。「連立政権の中で『暮らしの安心』を最優先し、政治を前進」などと主張しても、その内容は大増税でしかない。

自民党、財界からの「エサ」

 公明党は昨年一月から実質的に自自公体制で、自民党を支えてきた。そして昨年十月に正式に連立政権に加担した。
 その間に大企業のリストラを推進する産業再生法、一部ベンチャーなどを支援し、大多数の中小零細企業を切り捨てる中小企業基本法の改悪、労働者の権利や労働条件を切り下げる派遣労働法改悪、職安法改悪、労働者の解雇を自由に行える商法改悪などを次々に成立させた。さらにガイドライン関連法、盗聴法、国旗・国歌の制定、住民基本台帳改悪など反動立法成立に手を貸してきた。
 これだけの悪法を公明党の協力で実現した。自民党や財界が、その見返りとして九八年には七千億円の地域振興券、昨年は二千億円の少子化対策・駅前保育園など、公明党の要求を実現した。今回の児童手当も同じく、支配層による「エサ」にすぎない。
 これからみても公明党の要求をいくら実現するのは安いものでのある。

政権のうまみから国民裏切る

 中間政党は、支配層とその政党の危機に際しては、本質的には打倒より取引の道を選ぶ。支配勢力は譲歩することで支配を維持するのである。そのことは、公明党が初めて政権参加した細川以来の連立政権の歴史を振り返れば明らかである。だから、いくら公明党が「大衆の利益」だとか言ってみても空虚であり、「政権のうまみ」と「大臣病」から国民を裏切っているのである。
 すでに自民党は、有権者の二割しか支持されていない。九三年総選挙での絶対得票率は二四・三四%であり、九六年には二二・二五%と凋落を続けている。国民の二割しか支持のない自民党政治は、もはや連立でしか維持できないのである。
 大企業と米国の利益のための保守政治に労働者や中小商工業者、農漁民など国民大多数が反対している。この保守の悪政を支える公明党は、まさに国民を裏切り、悪政の延命に手を染めている。
 労働者、中小商工業者など国民諸階層は、保守政治を支える公明党の裏切りを許さず、断固たる大衆行動によって生活と営業を守ろう。そして、広範な統一戦線によって、政治の根本的な転換を実現しよう。


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