20000425


財界のための政治支える民主党(上)外交・安保問題

度し難い米国追随


 森政権が発足し総選挙が近づく中、民主党が労働者、国民の味方で、自公保連立政権にとって代わる政党であるかのごとく振る舞っている。しかし、彼らの掲げる政策は自民党と大差なく、多国籍化した大企業の利益を守るものにほかならない。「反自民」の旗を掲げるが、本質は財界の政治を支える別働隊である。連合は「民主党を基軸」に支持しているが、労働者はこの党を決して信用してはならない。外交・安保問題においても、米国の東アジア戦略への支持など、度し難い米国追随である。最近では、台湾問題やダライ・ラマ来日時の態度など、中国への「関与」に積極的である。民主党の外交・安保問題について、彼らの「安全保障基本政策」(九九年六月発表)を中心に暴露する。


アジア太平洋地域の情勢認識
「米国の存在が平和と安定のため重要」
「一つの中国、一つの台湾」を後押し


 アジアにおける米国の存在・十万米軍のアジア駐留をを最重要視し、対米追随外交の枠内である。中国、朝鮮への「関与」政策は、台湾「総統」就任式への党代表団派遣策動、鳩山代表のダライ・ラマ歓迎会への出席など、米国の片棒を明確に担っている。

 「米国はアジア太平洋地域の平和と安定のため、軍事的なプレゼンスを維持しつつ、この地域に積極的に関与する姿勢を見せている。…民主党は、米国の存在がこの地域の平和と安定のため重要であるとの基本認識に立つ」
 「台湾海峡をめぐり中台間で軍事衝突が発生することを避けることはわが国にとって極めて重要な関心事である。…台湾の一方的な独立を支持せず、同時に中国の台湾に対する武力行使に反対するとの基本的な立場に立つ」
 「北朝鮮の核疑惑・弾道ミサイル問題は日本自身の危機対処の問題であるとの認識に立って、その解決に向けてより積極的な努力を行うべきである」
 「できればどのような形でも、台湾総統就任式には何らかの形で、代表団か有志か、数名でうかがうことを希望している」(鳩山代表・三月二十九日)
 仙谷企画局長、枝野政調副会長らが陳水扁・台湾次期「総統」と会談(三月三十一日)
 鳩山代表が、来日中のダライ・ラマ歓迎レセプションに参加し、あいさつ(四月十三日)


日米安保条約の評価
「安保条約を安全保障政策の基軸に」


 日米の協議などでわが国の「主体性」を強調する程度で、その保障策はなし。在日米軍基地のアジアでの「役割」を認め、安保の「実効性」強化を主張するなど、対米追随でアジアに敵対する進路をとろうとしている。当然、沖縄問題での解決策も、示せるはずはない。

 「日米安全保障条約を引き続きわが国の安全保障政策の基軸に据える」(「基本政策」・九八年三月)
 「民主主義と自由主義経済という価値観を米国と大枠において分かち合い、同国と安全保障・経済両面で緊密な関係を構築してきたことが、戦後わが国の安全と繁栄に大きく貢献してきたことをわれわれは評価する」
 「在日米軍は、この地域における米軍全体の中核として機能している。在日米軍がアジア太平洋地域においてこのような役割を果たしていることは極東及び日本の平和と安定を目的とした日米安保条約が直接規定していないところではあるが、民主党は、当分の間、日米安保体制の実効性を高めることが、アジア太平洋地域の平和と安定のための重要な基盤であると考える」


わが国の安全保障政策
「ガイドラインの必要性を認識」


 「安保堅持」にとどまらず、国連軍への参加など、従来の自民党政治より大幅に踏み込んだ政策である。「多国籍軍への参加」や「集団的自衛権の行使」でさえ、憲法を変えれば可能とも受け取れる内容となっている。対米追随のもとでの政治・軍事大国化を狙う支配層の「提灯持ち」にほかならない。鳩山代表は、九条を中心とする改憲・徴兵制の導入にさえ言及しているほどである。

改憲・徴兵制の導入
 「九条はまず、『陸海空軍その他の戦力は保持する』と、一番目の項目として明記すべき」(鳩山代表・「文藝春秋」九九年十月号)
 「解釈の安易な変更を行うのではなく、必要に応じて憲法改正することが、成熟した民主主義国家のとるべき道である」
 「徴兵制はとらないことを原則としながら、万が一それで足りないときには、緊急事態法制の中で(徴兵制を)考えるべき」(鳩山代表・九九年九月十三日)

新ガイドラインの推進
 「新ガイドラインは、わが国の平和と安全を確保するためにわが国の米軍に対する平素、日本有事、周辺事態における日米防衛協力について定めており、民主党はその必要性を認識している」

PKFの凍結解除

 「現在凍結中の紛争停止や武装解除の監視、緩衝地帯における駐留・巡回などのいわゆるPKF活動についても、その凍結解除に向け、国会審議を開始すべきである」

多国籍軍への参加
 「自衛隊が武力行使を行わない場合には、多国籍軍への協力は憲法上は可能である」

集団的自衛権の行使
 「集団的自衛権行使の是非を憲法解釈の変更により行うべきではないと考える」

国連軍への参加
 「国連設立時の精神である国連を中心とする集団安全保障の確立に向けて真摯(しんし)な努力を続けるべきであると考える。正式な国連軍が編成される場合に日本はこれに参加すべきと考える」

有事法制の整備
 「現状のままでは、日本に対する直接侵略などの緊急事態において自衛隊の活動が円滑に行われないことで国民の生命・財産に対する侵害が拡大するか、または、自衛隊が超法規的措置を取らざるを得ない可能性がある。このためあらかじめ緊急事態における法律関係について十分な議論を行い、法制化しておくことが重要である」


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