各界新年メッセージ


国内生産で食料安定供給へ

JA全国農業協同組合中央会会長 原田 睦民


 新年明けましておめでとうございます。

 JAは、昨年十月に開催した第二十一回全国大会において、「国民食料の安定供給をめざした農業・農村の再構築」「農村の活性化と地域社会への貢献」「組合員の期待にこたえる『JA改革』の断行」など四つの課題と対策の方向を決議しました。

 まず、「農業・農村の再構築」ですが、特に地域農業の基幹である稲作農業の危機的状況を打開するため、昨年十一月に新たな米政策が決定されました。その目標達成により、稲作経営の安定を実現していかなければなりません。

 「新たな基本法」については、国内生産を基盤とする食料の安定供給確保に向けた政策、国内資源の活用による農業の持続的発展に向けた政策、そして生き生きとして開かれた農村地域社会を形成する政策を実現していくための法律として制定されるべきものと考えます。

 「新たな基本法」制定を求めた「一千万署名」をもとに、要請実現に向けた取り組みを行う一方、「次世代との共生」「消費者との共生」「アジアとの共生」をテーマに運動を進め、国民合意の形成に向けた運動展開を行っていくこととしています。

 さらに世界貿易機関(WTO)農業協定の次期交渉については、世界の食料需給は逼迫(ひっぱく)基調になると予想されており、さらに今後の人口増加などを踏まえれば、可能な限りの国内生産を基本とし、食料の安定供給を確保することが、国としての責務となっています。農業は単に食料を生産する側面だけにとどまらず、環境保全、地域活性化、うるおいのある豊かな生活への寄与など、多面的な価値を有しています。世界各国の農業が持続的に発展できるような農産物貿易ルールの確立を求め、海外の農業団体との連携強化も進めていきます。

 「地域づくり、人づくり」については、地域社会が大きく変化している中で、高齢者福祉や町づくりなど、JAが豊かな地域づくりの担い手として組合員や地域住民の期待にこたえる地域に開かれた活動を進めることが必要です。

 二十一世紀に向けてJAグループのさらなる飛躍をとげるには、全体の意思結集・結束を図り、目標に向かって確実な一歩を踏み出さねばなりません。


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