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沖縄 名護集会に2500人

稲嶺県政の暴挙に反撃

「命がけで闘う」と決意表明


 稲嶺・沖縄県知事は十二月三日、岸本・名護市長を訪ね、普天間基地の同市内への移設受け入れを要請した。沖縄県民はこの暴挙を糾弾、翌日には抗議の決起集会を成功させた。二十一日には県民大会の開催も予定されており、闘いは広がっている。「経済振興策」というアメにだまされず闘い抜いている沖縄と連帯する運動は、ますます重要になっている。桑江テル子・うないネット・コザ主宰に聞いた。


 米軍普天間基地の県内移設に抗議する決起集会が十二月四日、名護市役所前で開かれた。主催は、「基地の県内移設に反対する県民会議」(佐久川政一・中村文子共同代表)。集会には、予想を超える二千五百人が参加し、政府や稲嶺県政に厳しい批判を行った。
 主催者あいさつを行った佐久川代表(沖縄大学教授)は、「基地を名護市辺野古沿岸域に移設するとした稲嶺知事の決定は、暴挙以外の何ものでもない。基地新設を許さず、大切な自然環境を守る意味でも、市長に知事の要求を拒否させよう」などと呼びかけた。
 続いて、地元団体の決意表明が行われた。命を守る会の金城祐治代表は、「なぜ辺野古なのか、知事はまったく説明していない。命をかけてがんばり、阻止する」と、力強く述べた。二見十区の会の恩納琢磨代表代行は、「知事は政府のイエスマンだ。これにはっきりとノーを突きつけよう」と訴えた。ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表も、「岸本市長は市民投票に表れた民意を守るべきだ。市長が受け入れを表明するなら、リコール運動を行う」と強調するなど、それぞれが移設阻止の運動を強めることを表明した。
 さらに、地元の主婦や高校生が登壇。「子どもたちの未来が決められようとしている。知事であれ政府であれ、子どもたちの未来を壊す者とは命がけで闘う」「地元はあくまで反対だ」「大人だけの問題ではない」「稲嶺知事は行政の責任を放棄している」など、口々に基地建設に反対する訴えを行った。
 普天間基地のある宜野湾市からは、「カマドゥグワーの集い」の又吉京子氏が発言、「基地を名護の人に押しつけるのは悲しいことだ。県内移設には反対する」と発言し、大きな拍手を受けた。
 最後に中村文子代表は、「知事からの基地のボールを、今以上の運動で打ち返そう」と集会をまとめる発言を行った。また、沖縄県内移設計画の白紙撤回と名護市長に移設拒否を求める決議が採択された。
 県内移設は、沖縄を米アジア戦略の前線基地として強化するものである。県民の闘いに呼応する全国的な運動が求められている。


10・21県民大会 前回を上回る規模で

うないネット・コザ主宰 桑江 テル子氏

 政府は、普天間基地移設問題を名護への移設で決着させ、来年のサミットを迎えるという勝手なシナリオをつくっているのだろう。地元や県民の意思を無視したことで、まったく許せない。
 地元の名護の人びととしては、先の県民投票や住民投票は何だったのか、民主主義のルールさえも踏みにじるのかという思いだ。それに、移設予定地域はジュゴンがすんでいる貴重な海だ。「経済の活性化」の口実でカネが落ちるかもしれないが、肝心の海が汚染されるという取り返しのつかないことが、十年、二十年、三十年後に起こる。
 結局、子どもや孫の時代に悔いを残すことにもなる。それを思えば、じっとしていられない。おばあちゃんたちは「われわれの目の黒いうちは、命がけで阻止する」と言っている。
 十二月四日の集会への参加はあくまで地元中心で、特にお年寄りに広がっている。皆「戦争の足音が聞こえてくる」「自分たちの若かったころと同じだ」という実感だし、権力の押しつけがそう感じさせている。まだ組織的なものではないが、高校生も考え始めている。
 当面しては、十二月二十一日の県民大会と七十万人署名の成功、あわせて、県議会をはじめ各地の十二月議会への傍聴戦術を闘っていく。
 県民大会は、当然、一万三千人が集まった十月二十三日の前集会を上回る規模で考えている。
 本土の皆さんにも応援してほしい


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