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WTO抗議行動に参加して

米国の横暴に批判が集中

坂本 進一郎(農業つぶしに黙っていられない秋田委員会)


 「食とみどり、水を守る秋田県労農市民会議」の代表として、十一月二十七日から十二月五日まで米国のシアトルに行ってきた。今回の世界貿易機関(WTO)の閣僚会議には世界の非政府組織(NGO)七百八十団体が参加している。しかし、実際には登録していない多数の団体も世界中から参加した。
 デモについては、新聞報道などでは数千人とか多くても五万人とかいわれている。だが、実際にはアメリカンフットボールのスタジアムにいっぱいで、外にもあふれていたので十万人ぐらいいたのではないか。
 私たち農民はそれほど多くはなかったが、世界農民集会ではフランスでマクドナルドの店を壊した農民もあいさつしていた。私も発言したが、みなそれぞれの思いを語った。
 デモは毎日行われたが、WTOの会場であるコンベンションセンターを人間の鎖で包囲したのは自然発生的に起こったことだと、感じている。
 今回のNGOの行動がなぜ、これほど大きくなったのか。私が感じたのは、遺伝子組み換え食品の問題が大きいのではないか。米国はインドなど世界中から、遺伝子資源を集めている。そして、遺伝子組み換えの知的所有権を主張している。
 つまり、米国の大規模農業が遺伝子組み換え食品をつくりだし、世界的な規模で家族農業を破壊している。欧州などの農民も頭にきている。しかも、遺伝子組み換え食品の安全性などを米国はまったく考慮していない。つまり農民も消費者もこの問題で米国に頭に来ている。これが今回のNGOの大行動につながったのではないか。
 また米国では大規模農業のため「一村一農家」で、農村のコミュニティーも存在しない。米国型の農業はこの面でも問題だろう。
また、WTOを前に米国、フランス、韓国などでも多国籍企業の市場開放要求に反対する行動が行われた。日本だけが何も行われず、無風状態で残念だ。
 これから労農市民会議で報告し、報告会や報告書を準備していく。
 これから日本でも集会やデモを行う場合は、偉い人の講演などを聞いてデモをするのではなく、できるだけ多くの人びとが発言するようにした方がよい。そして、鳴りもの入りのにぎやかなデモをするようにしたい。そうやってもっとアピールしないと活性化しないだろう。


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