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神奈川 産業廃棄物処理場裁判

県の違法認め住民勝訴


 神奈川県小田原市の産業廃棄物処理施設をめぐり、県の建設許可は違法であると、近隣農民が県を相手に許可取り消しを求めていた裁判で十一月二十四日、横浜地裁で判決が言い渡された。判決は、原告農民の主張をほぼ全面的に認める勝利判決となった。
 原告は、産廃処理会社「ダック」近隣の農民らでつくる「ダック産廃焼却施設建設反対対策協議会」。同協議会は、産廃施設から排出される有害物質が、住民の健康と付近の茶畑などに悪影響を与えると、九一年から運動を開始、建設(操業)差し止め訴訟を四回にわたって申し立ててきた。
 当日は、協議会のメンバー約六十人が地裁前に集合し、「勝訴」の知らせにわきかえった。横浜YWCAで行われた報告集会では、「生活を守るという住民一万二千人の思いが一つになった」「業者は裏では実にひどいことをやっている」など、住民の勝利の喜びと業者や県への怒りの声が続いた。
 田中康介・協議会会長らはただちに県におもむき、「現地ではまだ操業が続き、有毒ガスが発生している。早く操業を停止させろ」などと詰めよった。
 しかし、県は「判決についてコメントできない」「これから国と協議する」など、敗訴判決にもかかわらず、住民の要求にこたえようとしていない。
 廃棄物処理法は過去二度にわたり改正されてきたが、ダック社はこの改正法に基づく許可基準を守っていなかった。ところが県は、ダック社からのデータ提出のないまま、建設を許可するというデタラメな行政を行っていた。またこの間、ダック社社長は許可品目外のコンクリート片などを自社廃棄物として社有地に埋めたとして、廃棄物処理法違反で逮捕されている。この意味で、住民の訴えを認めた判決は当然のものではあるが、住民の反対運動の成果である。
 なお判決報告集会では、佐藤七郎・党神奈川県委員会副委員長が来賓として紹介され、住民を激励するあいさつを行った。


反対協議会の声明(要旨)

 本日、横浜地裁は、ダック社に対して県が行った「産業廃棄物処分場許可処分」は無効であると判断した。これは、私たちが主張していた通り、県のずさんな書類審査や施設の違法性などが明らかになり、判断されたものと考える。
 私たちも、業者の不当な行為に対して何回も県に操業をやめさせるよう要望してきた。県がダック社の営業を認めてきたことがここまで長期化した原因であり、責任は極めて重い。
 県は、直ちに施設の解体を指導するとともに、住民に謝罪することを求める。


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