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中小小売商サミット開催

21世紀われわれは地域の主役


 第四回中小小売商サミットが十二月一日、東京で開催された。これは、二十一世紀に向けて、十六の中小小売商団体が多様で活力ある町づくり、小売商の発展を求めて集まったもの。メインスローガンは「二十一世紀、中小小売商は地域の主役!」とし、改正中小企業基本法施行に際して「小規模企業者に十分な配慮を! 実効ある中小小売商業、商店街対策の強化拡充を! 地域の意見を反映する『まちづくり』システムの確立!」を要求に掲げた。
 主催者を代表して岩野洋一・全日本小売商団体連盟理事長が「中小企業基本法が改正されたが、企業間格差や中小企業の苦しさは変わっておらず、弱者切り捨ての恐れがある。政府はそれを認識しているのか。また、介護保険を税方式でやれとか、消費税を一〇%や一五%にするなどということが、平然と言われている。だが、消費税が増税されれば、ほとんどの中小企業はつぶれてしまう」と訴えつつあいさつを行った。
 その後、原田英生・流通大学教授が「商店街など中小小売商と地域社会」と題する基調講演を行った。氏は、米国での大型店の無秩序な郊外出店の反省から、市街地での商店街復活の動きが出ていることを紹介した。そしてわが国でも商店街と住民の連携、行政に町づくりの制度を求める運動をつくり出す重要性を訴えた。
 その後、三人から意見発表が行われた(別掲)。
 本サミットは、規制緩和、過当競争、商店街の衰退という現状に対し、地域・業種・組織を超えて開催された。中小小売商の団結した闘いは、ますます重要であり、運動の発展のステップとなった。

田中輝吉 全日本商店街連合会会長

 全国で、住民生活やわれわれ商店が脅かされている。その最大の現凶は大型店の無秩序な出店である。そのために次の三点を要求する。
 まず第一に、地域の意見を反映した町づくりを行うこと、実効性のある土地利用規制を行うことである。
 第二に、大店立地法の実施に際しては、各自治体は柔軟な法運用を行うべきである。
 第三に、現行の大型店出店規制では不十分である。各自治体はまちづくり条例の制定を行うべきで、そのために政府は情報を提供すべきだ。

萬田貴久 日本書店商業組合連合会会長

 企業間格差は依然存在する。書店は六割以上が小規模経営であり、年間に一千店以上が転廃業している。
 商業は集積によって成り立つ。町の文化、経済、雇用を支えてきた中小企業の役割を再認識し、小規模企業が成り立つ支援策を講じるべきだ。
 
藤原厚 全国水産物商業協同組合連合会会長

 二十一世紀には、中小小売商が地域の主役にならなくてはならない。一致団結して、「屋」のつく店や商店街を守らなければならない。
 いまだに金融機関の混乱が貸し渋りが続き、悪徳金融業者による高利な貸付に苦しむ仲間が大勢いる。景気、雇用などの不安、また規制緩和が進み、小売業界全体が脅かされている。


参加団体

全国商店街振興組合連合会
全日本商店街連合会
全日本小売商団体連盟
日本専門店会連盟
日本商店連盟
全国小売市場総連合会
全国共同店舗連盟
全国水産物商業協同組合連合会
全国青果物商業協同組合連合会
日本書店商業組合連合会
全国電機商業組合連合会
全国牛乳商業組合連合会
日本ボランタリー・チェーン協会
全国化粧品小売協同組合連合会
全日本写真材料商組合連合会
全日本紳士服専門店組合連合会


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