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大企業優遇、規制緩和に反対して

中小業者 相ついで行動

大阪 3千人が集会、デモ


 小渕政権は、臨時国会を「中小企業国会」などとあざむきつつ中小企業基本法を改悪した。それは基盤の弱い中小零細企業を切り捨て、一部ベンチャーなど市場原理のもとで生き残れるものだけを支援するものでしかない。また、大企業優遇の産業再生法で大企業のリストラを推進しており、労働者、下請け企業などに犠牲を押しつけている。生活と営業を守るために労働者、中小零細業者は連合して、政府の悪政に反対する国民運動を起こし、要求を突きつけていこう。大阪府の中小零細業者三千人は、このままでは年を越せないと、危機突破の決起大会を行った。東京でも、第四回中小小売商サミットが開かれ、小売商が団結して二十一世紀の町づくりの主役となることなどを確認した。中小業者の行動が相ついでいる。


このままでは年を越せない

 寒風を吹き飛ばす熱気に包まれて、「中小企業をつぶす規制緩和反対・倒産防止・経済危機突破 中小企業決起大会」が十二月一日、大阪市中之島公園で開催された。
 主催は、大阪府宅地建物取引業協会、大阪府書店商業組合、大阪中小企業団体連合会など十団体で構成する大阪府中小企業事業分野確保協議会。三千人を超す中小業者が結集し、規制緩和反対など自らの要求を政府に突きつけた。
 開会あいさつにたった大阪府宅地建物取引業協会の山本正男理事は、「幸いにしてノストラダムスの大予言ははずれたが、仕事がない、銀行が金を貸さない、それ以上にこのままでは年を越せないという不況の現実が、世紀末にわれわれをおそっている。今日の集まりを元気の糧にして明日からがんばれるように、皆さんと協力しあって集会を盛り上げたい」と述べた。
 続いて主催者を代表して、大阪府中小企業事業分野確保協議会の門川源吾会長は、「大企業の中小企業分野への進出を許す規制緩和、とりわけ最近は銀行など金融機関が不動産業への進出を行おうとしているが、断固阻止しなければならない。そんなことをするくらいなら、三十兆円の公的資金をただちに国民に返してほしい。また書店やクリーニング業界でも、依然として大型店の進出が相ついでいる。世界を見れば、たとえばフランスなどは規制緩和を実施していない。米国にいいなりの規制緩和は、もうやめてほしいというのがわれわれの切実な要求だ」とあいさつを行った。
 集会は続いて、活動方針、大会宣言を参加者の拍手で議決し、参加した各政党代表に要求書が手渡された。その後、門川会長の音頭でガンバローを三唱しデモに移った。
 参加者は「公的資金で銀行を助け、中小企業をすてる政策やめよ!」などのプラカードをかかげてデモ行進した。
 大会は中小零細業者がこのままでは生きられないと、団結を強め、政府に要求を突きつけ闘うことを呼びかけた真剣な大会であった。
 なお、党大阪府委員会はビラを配布して、参加者を激励した。


大阪府中小企業事業分野確保協議会

大阪府宅地建物取引業協会
大阪府クリーニング環境衛生同業組合
大阪府グラフィックサービス協同組合
近畿複写産業協同組合
大阪府書店商業組合
大阪中小企業団体連合会
大阪市規格葬儀指定店事業共同組合
北摂葬祭事業協同組合
大阪葬祭事業協同組合
全日本不動産協会大阪府本部


大会宣言(要旨)

 政府の経済政策は大企業に厚く、中小零細業者に対して薄く極めて冷淡な政策を押し進めている。政府が進めてきた大企業優遇政策はスーパーなどの進出を容易にし、その結果、商店街を空洞化させている。
 また、中小企業事業分野への大企業進出、特に昨年、独占禁止法第九条の改正により持株会社が産業資本をその傘下に置き、金融機関の不動産分野への進出を容易にした。
 今臨時国会に提案されている特別融資枠を十兆円に拡大し、全額中小零細企業の活性化対策とすることを強く要求するものである。
 われわれは弱肉強食の国の政策に対して断固として反対するものであり、無制限な規制緩和施策にも断固として反対するものである。中小零細企業の事業分野を確保し、中小零細企業を守るためには中小零細企業者自らが行動し団結して闘うことが必要である。われわれは力を合わせて自らの権益・生活を守るために闘うことを宣言する。

活動方針(要旨)

 今ここに三千人以上の分野協の仲間が結集した。中小零細業者のそれぞれの課題を出し合って、中小零細業者の力で政府に対して中小零細企業を守るために具体的な提言を行ってきた。われわれは政府に対して中小零細企業の救済と経営の安定のための政策の実現を求めた。その実現のため、努力し行動を起こすことを提案する。

われわれの要求
・緊急特別融資枠を十兆円に拡大し、すべて中小零細企業にまわすよう要求する。金融機関の貸し渋りなどないように十分にその施策の監督を行うよう強く求める。
・官公受注は分離・分割を行い中小零細企業に発注されるよう、またその枠の拡大のために積極的に努力すること。
・商店街の活性化対策の強化、大型店の進出はこれ以上不必要である。早急に商店街活性化に向けて大型店の規制を緩めることの見直しをするよう要求する。


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