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普天間基地の県内移設を許すな

全国で沖縄に連帯する闘いを

連続的闘いで移設を許さない

前平和運動センター議長・沖縄県議 新垣善春氏


 稲嶺沖縄県知事は十一月二十二日、普天間基地の移設先を名護市辺野古沿岸域にすると発表し、基地移設問題は重大な局面にさしかかった。基地の移設に反対する県民会議などは、県庁前抗議集会で、知事リコール運動も視野に入れた闘いを発展させると決意を表明した。また、市役所前座り込みなどを展開し、沖縄の闘いは大きな高揚を迎えようとしている。全国で沖縄に連帯する闘いを構築しなければならない。このような中、自主・民主・平和のための広範な国民連合第七回全国総会で、前沖縄平和運動センター議長の新垣善春氏が記念講演した。氏の了解のもとに要旨を紹介する。


 日本国民は日米安保条約のもとでの暮らしを強いられている。特に安保体制を強いられているのは、沖縄だと思う。それは、国民から安保条約の本質を隠し、海を隔てた沖縄に基地を集中して、国民の目をそらすためだろう。
 九五年五月、一番危険な普天間基地を包囲する行動によって、政府や米国へ普天間返還を求めた。すると米国は、あたかもこうした要求を受け入れるかのようなポーズを示しながら、県内に新しい基地を求めた。普天間は終戦直後の基地であり、使い物にならない。この普天間を返しながら、最も新しい基地を沖縄につくろうとしている。これが日米政府の意図である。
 そして名護市東海岸沖に海上基地をつくると打ち出してきた。名護市民は市民投票で海上基地は受け入れられないことを示した。
 だがその後、当時の市長は東京まで出ていき、受け入れ表明、辞職した。辞職にもとづく市長選挙が行われ、残念ながら受け入れ派が推す市長が実現した。
 この選挙では防衛施設庁の職員二百人が、毎日選挙運動に動員された。また、衰退する商店街に対しては、振興策を進めると大宣伝した。
 知事選挙も同様に経済界を総動員し、振興策を振りかざし現知事が誕生した。
 しかし、われわれはもう敗北はごめんだ。ここらで勝利すると腹をくくってきた。
 知事は、現実的対応といって、沖縄北部に軍民共用の基地を受け入れるとしている。そして十五年間という期限をつけている。だが、米軍は十五年は受け入れられないとしており、子供だましのような条件だ。
 だとすれば、県内への普天間基地の移設を許してはならない。いま、基地の県内移設に反対するという一点で一致する団体や個人が「基地の県内移設に反対する県民会議」をつくって、闘いを発展させている。
 来年はサミットがある。沖縄の施政権を日本政府が売り渡した四月二十八日から、沖縄地上戦が終わった六月二十三日まで連続的に闘い、サミットを迎え撃つ体制をつくる。そして嘉手納基地か普天間基地を包囲する行動でサミットを迎える。
 全国の仲間たちが、沖縄の呼びかけにこたえ運動を起こしてほしい。諸悪の根源である日米安保に反対する一点で団結しよう。
 団体、個人を問わず運動を起こせば、不可能と思われることも可能に変わる。われわれも全国の皆さんの期待にこたえられる運動を構築する。
 皆さんも職場から声を上げてほしい。地域から声を上げてほしい。こうした声は今は眠っていると思われる多くの団体、個人を動かすだろう。


ヘリ基地反対協の緊急アピール(要旨)

 稲嶺知事は記者会見し、普天間基地の移設先候補地をキャンプ・シュワブ水域内名護市辺野古沿岸域にすることを正式に表明した。知事の、私たち県民に基地の犠牲を強いる最悪の選択に対し、憤激を込めて抗議する。
 知事は、十一月十九日の沖縄政策協議会での県内移設表明に引き続き、今回も県民および名護市民の頭越しに一方的に移設先を決定した。このことは、県民無視の、政府の立場で沖縄問題の解決を図ろうとする知事の反県民的・政治姿勢が如実に表れたものである。
 「県民の負託を受けた知事として、主体的にリードすべき」とする知事の独断による選択は、本土復帰後初めての新たな基地建設を許すとともに、初めて自らが基地建設を選びとることである。苦渋を強いられ続けた沖縄の歴史に、拭い難い汚点を残すことになる。
 なにより、移設先候補地の名護市民が市民投票で示した「ヘリ基地反対」の民意にまったく触れていない。このことは、名護市民無視の、民主主義を否定する暴挙に他ならない。知事にとって、普天間問題は「県内移設ありき」であり、名護市民への基地押しつけが、政府の意思に沿った既定方針であったことが明白となった。
 知事は、県民・名護市民不在の普天間基地移設表明を直ちに撤回せよ。
 岸本名護市長は、市民投票で示された「ヘリ基地建設反対」の民意を裏切ることなく、移設受け入れを即刻拒否の道しかない。
 私たち県民は知事によるこの屈辱的事態を許すことなく、沖縄県の自主的・自立的発展のために固く団結しよう。新たな基地は私たちの未来を縛り付ける。
 そして名護市民は、「名護市の将来は市民みんなで決めよう」と立ち上がった町づくりの原点に返り、今こそ市民が一つになるときだ。政府と稲嶺知事の不条理な基地押しつけに「ノー」を明確に突きつけよう。悔いを残さない行動をしよう。

一九九九年十一月二十二日
海上ヘリ基地建設反対・平和と名護市政民主化を求める協議会


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