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東京 介護保険で区に改善を要求

都民の連携した運動を


 東京都杉並区の区民らでつくる「もっとよく知ろう、公的介護保険」の会は十一月二日、講演会を開き、あわせて「杉並区民がつくる福祉事業計画」をまとめた。九州大学助教授・伊藤周平氏の講演「介護保険は福祉をどう変える?」では、実際に起きているさまざまなケースを紹介しながら、介護保険がとりわけ低所得者にとって、きわめて過酷な制度であることが指摘された。
 続いて、福祉現場からの発言が相つぎ、要介護認定の問題点や、施設での職員合理化、生活が困窮する高齢者世帯の問題などが出された。
 会では、今後杉並区に対して要望を提出し、提案されている区の「介護保険事業計画案」の改善を求めていく予定。
 杉並区に限らず、これまで福祉の分野で先進的といわれてきた東京都の各自治体において、財政難と介護保険導入を機に、福祉事業の大幅縮小が計画されている。東京都がこれまでの老人福祉のさまざまな補助金を全面的に打ち切る姿勢を見せていることが大きく響いている。都民の連携した運動が切実に求められている。
 また会は、介護保険制度発足を前に「制度はどう変わるの?」「利用の仕方がわからない」という声にこたえて、リーフレット「もっとよく知ろう、公的介護保険」を作製した。
 リーフレットでは、介護保険利用の手順や保険料負担をわかりやすく説明した上で、具体例をあげて現在の制度と比べ、負担額や利用回数がどう変わるかを示している。これまで無料でヘルパーや福祉器具の貸与を受けていた女性が介護保険発足のために数万円の負担をすることになり、利用を断念せざるをえない例などをあげて説明している。
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 リーフレット「もっとよく知ろう、公的介護保険」「杉並区民がつくる福祉事業計画」についての問い合わせは労働新聞社まで。


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