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原子力政策の破たんを追及

能登原発差止め訴訟原告団団長・堂下健一氏


 石川県志賀町での志賀原発二号機建設計画に反対して八月三十日、北陸電力を相手取って「能登原発差止め訴訟原告団」が結成された。茨城県東海村で九月三十日、国内初の臨界事故が起こるなど、国の原子力政策は破たんを示している。同原告団長の堂下健一氏に、訴訟の意義などについて聞いた。


今回の提訴の理由について、お聞かせ下さい。

堂下 志賀町では、すでに志賀原発一号機が運転を始めており、これに対しても裁判闘争を闘ってきた。昨年九月に下された高裁判決では、運転差し止めの請求は棄却されたが、「原発は人類の負の遺産」とする判決を引き出した。また、今年二月の泊原発訴訟(札幌地裁)や三月の女川原発訴訟(仙台地裁)でも、「安全サイドに立った視点に欠け、少なからぬ問題を残している」など、われわれの主張が少しずつ取り入れられるようになっている。
 また、志賀原発二号機は、「改良型沸騰水型軽水炉」と呼ばれるタイプで、これは新潟県の柏崎原発に二基あるだけの、世界でも三基目のものだ。このタイプは、コストは安いが事故が非常に多く、柏崎原発は六年で九回もの事故を起こしている。
 安全性よりも経済性を優先するこのような危険な原発建設は、住民の命や環境を守る上でも認めることはできない。それで原告団を結成した。原告は地元の石川、富山が中心だが、福島や熊本、沖縄在住の人も含め、合計十七都県の百三十五人にのぼる。

具体的には、どのような運動を行っていますか。

堂下 八月三十日の原告団結成集会には、原告や弁護士を中心に百五十人が集まった。
 闘いは裁判闘争が中心だが、新聞の折り込みチラシなどで宣伝を行っている。現在は町内での署名集めを行っている。今回の新たな訴訟は、十二月十七日に第一回公判が行われるが、公判のつど報告集会を行う予定だ。
 この闘いには、地元の地区労をはじめ、教組などが熱心に取り組んでくれている。

東海村で発生した臨界事故については。

堂下 最初の報道に比べると、どんどん事故の重大さが拡大していったという印象だ。原発をかかえた場所からすると、同じ状況になりうるということで、とても人ごととは思えない。ひとたび事故が起これば、いかに大変な事態になるかを実感した。核燃料サイクルは、完全に破たんしている。
 また、国の情報操作も感じた。今回も、早すぎる「安全宣言」を出しておいて、その後少しずつ、世論を確認しながら情報を出している。
 諸外国では、事故の時はとにかく逃げるよう指導している。ところが日本は、「外に出るな」と閉じこめるだけ。この意味でも、人命を軽視していると言わざるを得ない。

連絡先
能登原発差止め訴訟原告団
石川県羽咋市中央町サ五
労働会館内
電話
0767-22-7385


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