991015


陸・海・港湾との連帯めざす

ガイドラインに協力しない

村中 哲也・日本乗員組合連絡会議副議長に聞く


 パイロットらでつくる日本乗員組合連絡会議(日乗連・六千人)は九月十三日、定期総会を開き、新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法に基づく、有事の際の航空労働者への協力要請を拒否する決議を行った。動員される恐れのある乗員が、協力拒否を決議したのは非常に重要である。現職のB747航空機関士でもある村中哲也・同副議長に、決議や闘いの決意について聞いた。


 私たち日乗連は定期総会で、ガイドライン関連法に基づいて民間航空を軍事利用する計画に、断固として反対する意思表示を改めて行った。
 反対する理由は大きくいって三つだ。
 一つは、お客の命にかかわる問題だということ。二つ目に、航空産業としての使命に逆行する。三つ目は違法だということだ。

民間機が攻撃目標に

 一つ目の安全の問題を具体的に言うと、航空の歴史の中で、日本の民間航空機が軍事的な標的にされるという経験はしてこなかった。国際法で禁止されているからだ。
 ところが、ガイドライン関連法で米軍の軍事行動の後方支援を義務づけられるようなことになると、相手国からみれば軍の前線をサポートするような部隊だから、民間航空機が攻撃目標になることが現実になる。
 わが国もかつて、ベトナム戦争後、ソ連のアエロフロート機に対して、沖縄に駐留していた航空自衛隊機が毎朝スクランブルして迎撃していた。強制着陸などはなく、演習的な緊急出動だとはいえ、その理由は民間定期便であってもハノイに軍事輸送をしていないという保証はないということだった。さらに直接攻撃ではないが、八八年にホルムズ海峡でイラン航空機が米軍のミサイル攻撃で撃墜されたことがある。誤爆だが、戦闘地域というのはそういうことが大いに起こり得る。
 二点目は、民間航空企業が軍事協力用の航空機を特別にもっているわけではないので、その分、民間航空の需要から削られることになる。あるいは空港を軍事利用するいことになると、実態的には軍事的な使用が優先される。北大西洋条約機構(NATO)軍によるコソボ空爆でも、フランクフルト空港がドイツ軍の前線輸送基地だった、そこでは、輸送機の離発着する間、約一時間は空港が閉鎖状態になった。すると民間航空の出発・到着便は地上と上空で待機を命じられる。結局、燃料切れで降りられず、ケルンまで飛んだという事例もある。
 三点目は、民間航空機は軍事目的に使用してはならないという民間航空条約に明確に違反している。
 この条約では、軍や警察に寄与する航空機は民間航空機ではなくて国の航空機である、と明記されている。これらは、他国の領空・領海に入れば、国境警備隊によって排除される。ところが、民間航空機の場合は、一定の簡単な手続きがあれば、いちいち断るということはしない。軍事活動に協力すれば、この規定を踏みはずすことになる。

職場あげての抵抗を


 ガイドライン関連法で危険、違法な航空輸送を強制しようとする動きに反対を貫こうとすれば、職場をあげての抵抗闘争が最も重要になる。民間航空の労働者として、民間航空本来の任務は守る、互いにその決意を確認しあう必要があるということで、今回の決議を行った。
 今後、われわれは航空関連のすべての団体との協力はもちろん、陸・海・港湾の労働者とも連帯してがんばっていく。
 日本航空の乗員組合も、ガイドライン法に基づく民間航空の軍事協力は拒否すると声明したところだ。経営者は協力要請があればそれは受けると回答した。組合はそういうことを強制するならば、ストライキでもって拒否すると、争議権を確立している。
 ガイドライン関連法への協力は絶対やらない、発動させないという一点で、幅広く共闘すればよいのではないか。


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