991005


東京 アジアの平和を求めシンポ開催

沖縄の闘いをビデオ化
県民大会に向け沖縄と連帯を


 支配層は、来年の沖縄サミットへ向け、普天間基地の移設候補地を年内に決定しようとしている。これに対し、名護市議会は基地早期建設決議を否決した。沖縄県民は十月二十三日に県民大会の開催を決定するなど、粘り強い闘いを継続している。東京では、これと結びつき闘いを広めるためのビデオ完成上映会が開かれた。 


 ドキュメントビデオ「沖縄・基地案内−未来を見つめ闘う島」の完成上映会と「アジアの平和を求めるシンポジウム」が九月二十六日、都内で開かれた(主催・小川町シネクラブ、協賛・沖縄一坪反戦地主会関東ブロックなど)。
 ビデオ「沖縄基地案内」は、九五年九月の少女暴行事件をきっかけとした八万五千人が結集した一〇・二一県民総決起大会から始まり、今年六月の米軍用地特措法再改悪までの約三年半の闘いの経過を映像化したものである。約三年半に渡る反戦地主を先頭に行われてきた「米軍基地撤去」の闘いが生き生きと映し出された映像である。
 ビデオの完成上映会後、シンポジウムが開かれた。パネリストは新崎盛暉氏(沖縄大学教授・沖縄一坪反戦地主会代表世話人)、富山栄子氏(国際交流・平和フォーラム代表)、前田朗氏(東京造形大学教授)、横堀正一氏(前千葉県高教組委員長)の四人。
 沖縄現地から「日米のアジア戦略と沖縄民衆の闘い」と題して講演した新崎氏は、来年の沖縄サミットについて「沖縄という場所は中国、朝鮮に対する威嚇として最適な場所」としたうえで「二〇〇〇年沖縄サミットはNATO・日米安保という米国の『新戦略概念』の結束の象徴である」と厳しく批判した。
 また稲嶺県政の評価についても「平和祈念資料館の展示問題で幻想が払拭された」「沖縄県民の反基地感情の根本である沖縄戦の経験、評価について政府の意向を先取りした」と指摘。沖縄サミットとリンクされた形になっている海上ヘリ基地の問題と平和祈念資料館の展示改ざん問題で「最近までの『サミットフィーバー』は急速に冷め、運動の再構築が始まっている」と述べた。
 その上で「『普天間基地・那覇軍港の県内移設に反対する県民会議』(基地の県内移設反対県民会議)が政党のカベを超えて結成される。来月二十三日には一万人規模の県民大会、署名活動が準備されている」と紹介、本土でもそうした沖縄県民の闘いに連帯する運動をつくり出すことを呼びかけた。
 富山氏は、いわゆる「北朝鮮脅威」論とそれをあおるマスコミの責任について指摘、「新ガイドラインの報道をめぐっても、今日の日本のマスメディアはジャーナリズムの基本を無視している」と述べた。
 戦後補償問題と歴史観の問題について、前田氏は「アジア女性基金は完全に破たんしている」としたうえで、小林よしのりらの「自由主義史観」や政府が進めている「日の丸・君が代」強制に対する闘い、元従軍慰安婦への国としての補償を求める運動を呼びかけた。
 横堀氏はわが国の対朝鮮政策を批判、「チマ・チョゴリ切り裂き事件などいまなお残っている朝鮮人への差別意識を最大限利用しており、警戒が必要」と述べた。
 また、会場には社会大衆党の島袋宗康参議院議員が駆けつけ、「沖縄の闘いは終わっておらず、これからが本当の正念場。『県民会議』が発足し、全国的に米軍基地の県内移設を絶対認めないという署名運動を全国的に展開したい。ぜひ本土の皆さんもご協力を」と力強く訴えた。
 その後、名護・辺野古出身の在京県人の女性の訴えや東大駒場寮の廃寮攻撃と闘っている東大駒場寮生が発言、それぞれの闘いに対する支援を呼びかけた。
 沖縄における反米軍基地闘争が再構築を開始しているさなかの集会だけに、本土における沖縄連帯の闘いの重要性が再認識された集会であった。 


Copyright(C) The Workers' Press 1996-1999