990925


京都 朝鮮半島情勢めぐり槙枝氏が講演

日朝国交正常化を求める


 九月十六日、京都市で「朝鮮の自主的平和統一を支持する京都委員会」が主催する講演会が開催された。「煽られすぎた『北朝鮮』の脅威」と題し、朝鮮の自主的平和統一を支持する日本委員会議長の槙枝元文氏が講演した。
 この講演会は、京都での日朝友好運動の再構築をめざして取り組まれたもの。集会の呼びかけ文に「私たちは日朝国交正常化、南北朝鮮の平和的な統一こそが、アジア及び世界平和に貢献するものと確信している。日本政府は『朝鮮有事』を口実に、憲法違反の新ガイドライン関連法を成立させ、一連の反動的な法律を矢継ぎ早に通して、軍事大国化への道を突き進んでいる。私たちは平和憲法を守り、戦争協力法を封じ込め、廃止に追い込むための運動を継続・発展させ、日朝国交樹立と朝鮮統一を実現しなければならない」とあるように、日本、アジアの平和を守る上で意義ある取り組みである。
 集会では主催者を代表して同委員会代表委員の松井巖・元京都総評議長のあいさつに続いて槙枝氏が講演。槙枝氏はこの八月に訪朝した内容も交えながら、朝鮮の脅威はあるのか、なぜ朝鮮の脅威をあおるのか、をテーマに話を進めた。
 まず「日本は朝鮮に対して多額の『借金』がある。それは世界のどの国も行ったことのない強制連行や、名前を変えさせ、朝鮮語を使わず日本語を使えなど、植民地政策の中で完全な人権侵害を行ったことだ。朝鮮問題に向き合うには、まずこのことを前提に考えるべきだ」と強調。「現在も続く朝鮮民族の分断は第二次大戦の結果であり、日本の責任で国家が分断されている。朝鮮民族にはこういう史実を前提に接するべきだ」と述べた。
 そして「なぜありもしない脅威をあおるのか、その背景をよく理解する事が重要」として、冷戦構造が崩壊して以降の米国の世界戦略と、それに追随する日本政府の姿勢を厳しく批判、暴露した。
 「冷戦が崩壊し、ソ連は政治経済とも混乱する中で、超大国の座から滑り落ちた。米国も経済は深刻だったが、日本という『財布』があった。また軍事的にも日米安保体制が支える形であった。米国が引き続き世界の警察官として振る舞うには、仮想敵国が必要であり、日本との関係でも日米安保が空洞化することを最も恐れた。したがって北朝鮮の脅威をあおることで緊張関係を作り出し、新ガイドラインまで進めた」「むしろ米国の世界戦略に追随する日本政府の姿勢が大きな問題だ。日米安保は精算すべきという声は保守の中にも相当ある。今年の米国の世論調査では、日米安保の必要性について『日本の独走を抑える』が最も多くて四七%、『米国の世界戦略に活用する』二七%、『日本を守る』は九%に過ぎない。歴史的に見ても長期の一国支配は続かない。日本は自主性を回復し、独立国家としてノーと言える日本になるべきである」と述べた。
 最後に、日本の政治も、どの政党が敵で、どの政党が味方なのかわかりづらい。そのことが政党不信となり、結果的に政治不信につながっているとして、国民的な共同戦線を大きく発展させて、このような政治を変える必要があると訴え、最も近い隣国に位置している日本の政治が変わることが、朝鮮の自主的平和統一実現にとって大きな意味を持つと講演を結んだ。
 会場は労働者など二百人の参加者であふれた。  


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