990915


北海道・矢臼別
米軍実弾演習移転反対集会に5000人

連合北海道 演習反対運動強化へ

―参加者の感想―


 九月八日から二十二日まで、北海道別海町の陸上自衛隊矢臼別演習場で在沖縄米海兵隊実弾砲撃訓練が始まった。演習期間中には沖縄県道越え演習の一年分に相当する約三千発の実弾砲撃が行われるほか、一分間に十五連発の射撃や夜間砲撃訓練などが予定されている。

 連合北海道などは九月五日、「米軍実弾演習の矢臼別移転反対全道集会」を開き、農民や労働者など五千人が結集した。

 連合北海道の船水博事務局長は、連合としても演習に対する反対運動を強めていくとあいさつ。集会後にはデモ行進が行われた。

 集会参加者から感想が届いた。


 沖縄での実弾演習が全国的に拡大され、「沖縄の痛みを分かち合う」ことを口実に、日本全土が米軍基地化してしまった。

 集会当日は道東では珍しい晴天で、今年の暑い夏はその残暑をひきずったまま、北海道の人間には心も体も暑い日だった。北海道だけでなく、宮城、大分、山梨など米軍実弾演習地を抱える連合地協からも連帯の参加があった。しかし、米軍実弾演習の根源がどこにあるのか、何から派生するのかという、本質問題を突きつめ、それを打開する発言は乏しかった。米軍演習の現状を言うだけでは、問題の解決には結びつかないのではないかと率直に感ぜざるを得なかった。

 また民主党からの発言に対して「日米安保があるから戦争への危険性が増大している」「新ガイドラインを民主党は容認した」「日米地位協定に民主党は反対しなかった」などのヤジが飛ばされ、参加者の思いと発言者の意識にズレを感じた

 もともと、旧社会党の力が残っている道東でさえ、なかなか意識の一致が見られない現況に歯がゆい思いをするのは参加者も発言者も同じではないかと思われた。

 最後に発言した地元代表から「米軍演習は当初の約束とは違う。第一に夜間演習はやらないと聞いていたが、実際は夜間砲撃演習もある。第二に米軍の滞在期間は二週間と言われたが、先遣部隊から数えると四週間にも及ぶ。第三に市民とは接触させないと言いながら、米兵は町に出てくる。演習地のそばの中学校は生徒のほとんどが自転車通学で、普段は交通量が少ないが、演習が始まると米軍車両がスピードを出して通過していく。交通事故で生徒が巻き込まれるのではないかと心配している。初年度は通学バスが用意されたが、今年はそのバスすら用意されなかった。地域では米軍演習の思いはさまざまで、補助金が出るからよいという人もいる。しかし、演習地のそばに住んでいる人にとっては、防犯との問題も含めて気が気でない」と訴えられた。

 米軍演習は人を殺すための演習で、荒ぶる気持ちの発露がいつ住民に及ぶかわからない。町中をデモ行進しながら、この間の政府の反動的施策、政策と国民の思いが、これほどまでに違うのかと感じた。集会のもようはマスコミには全くといえるほど取り上げられなかった。これが今の日本の現状なのだ。(S)


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