日韓演習は集団的自衛権の行使だ
長崎県・佐世保地区労 今川 正美事務局長に聞く
日米のような同盟関係にない日本と韓国が共同演習をやるというのは、集団的自衛権に触れる。これまでも通信訓練などはあったが、今回のように「救難訓練」といいながらも軍事的な合同演習の布石になるような訓練は初めてだ。新ガイドラインの問題も含めて、これまで米韓、日米で行われていた合同演習にプラスして日韓が出て来れば、日米韓で北朝鮮を包囲していく形になっていく。これらの点を批判して、地区労では抗議行動を行った。
日本では「テポドンから一年」などと騒いでいるが、北朝鮮との関係は外交問題としてとらえなければならない。ところが一部の勢力が「待ってました」とばかりに、偵察衛星や戦略ミサイル防衛(TMD)構想に参画しよう、などと煽っている。これらは政治のレベルの低さを物語っていると思う。日本と朝鮮は過去の歴史を持っているだけに、軍事力をひけらかす必要のない、平和的な手段でチャンネルをつくっていくべきだ。安全保障とは、まわりに敵をつくらないことと、まわりの国からどれだけ信頼されるかということにつきる。今の状況は危機を煽っているわけで、逆のことをしている。
朝鮮半島との間には、植民地支配という歴史的な問題が横たわっている。北朝鮮に対しては過去の清算も何もしていない。新ガイドラインでは、「後方支援」といえども北朝鮮に対して加害者の立場をとるわけで、歴史の事実に対する認識が足りないと思う。
「テポドン」という言葉が一人歩きして、長崎でもノストラダムスの予言と重ねて「七月二十五日に米軍基地のある佐世保に落ちてくる」という噂が広がった。各地で朝鮮学校の生徒に嫌がらせをする事件も起きている。こういう時こそ、民間レベルでの日朝交流を活発にして誤解を解いていく必要がある。
新ガイドライン関連法が成立して、八月二十五日には施行されたが、実際に戦争行為に及ぶためには、数年がかりの作業が必要となる。交戦権を放棄しているわけだから、どういう武器を使うかとか、細かい一つひとつのことが全部、憲法や今の国内法に引っかかる。だから発動させないように、法律を死文化させる取り組みが必要だ。
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