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今こそ核兵器廃絶!

政府は米の核の傘から脱却を


 「今こそ核兵器廃絶を!市民集会」が七月二十日、東京で開かれ、全国から約百八十人が参加した。

 主催した実行委員会は、昨年のインド、パキスタンによる核実験を契機に、日本政府が呼びかけた「核不拡散・核軍縮に関する東京フォーラム」の会合に合わせて、昨年から東京、広島、長崎で集会を行い、核廃絶へ向けた提言を「東京フォーラム」に提出している。今回は、七月二十三日から東京で開かれる「東京フォーラム」最終会合に合わせたもので、フォーラム報告書に盛り込むべきことがらとして十一項目と、日本政府に対して「積極的な外交交渉の役割が求められて」いると指摘し「NGOとの定期的協議を求める」とする提言をまとめた。

 集会では始めに主催者からの発題として、広島平和文化センター元理事長の河合護郎氏が「広島の慰霊碑にある死没者数は三十二万五千九百人。現在の技術からみれば玩具のような原爆で、これだけの被害が出た。『戦争を終わらせるのに当然の犠牲だ』とする強者の原爆正当論が、半世紀の核軍拡競争に拍車をかけてきた。しかも日本は米国の原発正当論に明確に反対していない」として、日本政府が核廃絶への議論をリードするよう訴えた。

 続いてパネルディスカッションが行われ、梅林宏道(太平洋軍備撤廃運動国際コーディネーター)氏、田川時彦(東京都原爆被害者団体協議会副会長)氏、ベフ・デロング(核兵器廃絶カナダ・ネットワーク共同代表)氏、明石康(東京フォーラム共同議長)氏、阿部信泰(外務省軍備管理・科学審議官)氏が発言した。

 阿部氏が「『安全保障を考えながら現実的』に、というのが政府の考えだ。保有国の安全保障も考えながら、核軍縮を説得しなければならない。NGOの主張は政府を引っ張る力だが、今回の提言をすぐに実行とはいかないかもしれない」と政府の立場を説明した。

 これに対し、梅林氏や田川氏が「日本政府に核政策の変更を求める」と発言した。

 梅林氏は、「東京フォーラムのレポートが、国際的な核軍縮の行き詰まりと日本政府の核政策変更に、どれだけインパクトを与えるかが評価の基準だ。日本は世界から、米国の核戦争の手伝いをしていると見られている。この状況を清算しなければならない」と指摘。田川氏は「被爆者として日本の核政策を変えられないことは恥ずかしい。核の傘の下にいることは、核を持っているのと同じだ。日本政府は、被爆国の実情を全世界に広げ、非核三原則を法制化してはどうか」と提案した。

 最後に「東京フォーラムに対する市民の提言」と、「核兵器のない二十一世紀へ! 核兵器廃絶の努力を集中しよう」という宣言を採択した。

 宣言には「二〇〇〇年を核兵器廃絶のための特別の年にしよう」と、市民の行動や共同の闘いを呼びかけた。


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