ストライキ、大衆闘争で立ち上がろう

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資本の側のイデオロギー攻撃を打ち破り

ストライキ、大衆闘争で立ち上がろう

　労働組合の大会シーズンを迎えている。九九春闘は、大リストラ攻撃の中で、史上最低の賃上げ率にとどまるなど労組の存在が問われるものとなった。だが、危機が深まる中で、危機突破に労働組合がどう闘うかが重要になっている。真剣に春闘総括を行い、労働運動の再生に奮闘しよう。（Ｙ）

労組幹部は真剣に春闘総括を

　春闘に向け資本の側は、日経連の労働問題研究委員会報告で、「総人件費抑制」という考え方を打ち出した。また「過剰雇用・設備・債務」を廃棄しなくてはグローバル競争に生き残れないと、一～二月に東芝、日立などが大リストラ計画を次々と発表するなど春闘つぶしの攻撃を行った。

　日経連春闘総括（五月十三日の総会における春闘評価）は、七点（別掲）を九九春闘の特徴としている。その上で「低成長とグローバル経済に伴う競争激化の時代を迎えて、産業・企業間の業績格差は増大し、賃金重視、横並び的な労資交渉の基盤は大きく崩れてきている。その意味で、今年の労資交渉は、春季労資交渉の中身の改革の必要性を明確にした」との勝利宣言をしている。

　一方、労働組合の側は、連合が最終ヤマ場である三月十七日直前に「スト権の確立、低額なら回答拒否、腕章闘争などあらゆる行動で押し上げろ」と檄（げき）を飛ばした。しかし、結果は史上最低の賃上げ率という敗北を喫した。

　では、なぜ敗北したのだろうか。

　まず、資本のイデオロギー攻勢に屈している問題である。

　根本日経連前会長は「労資の問題意識は九〇％程度ほとんど共通化し、両者の真剣な『対話路線』は世界に誇るべき公共財となっている」と語っている。これは労働組合が資本の側のイデオロギーを九〇％は認めていることである。。

　たとえば電機連合は、七月八日からの大会で鈴木委員長が「賃金などすべての労働条件をトータルで考え、重点をしぼって交渉していく」「場合によっては賃上げ要求を見送ることもある」と春闘不要論を打ち出した。さらに「自分の一生を一社で保障される時代は終わった」とリストラを容認した。

　また電機連合傘下の富士通労組などはボーナスも業績連動型にした。これでは、労働者がいくら働いても会社の業績が悪ければボーナスは下がる。

　そして電機、自動車などで大リストラ計画が発表されたが、労組はこれについて何も発言せず、容認している。これらのことは資本の側にすれば「世界に誇るべき『対話路線』」の成果である。

　これでは労組の体をなさず、闘えるはずはない。

　そうした中で、中小企業では「大企業でも賃上げゼロやリストラが進んでいる。雇用を守るのが精いっぱい」との賃金抑制論が強まった。また、取引先銀行や親会社からの合理化圧力がかけられたのも事実である。

　そうした状況で経営困難な企業では「賃上げどころではない」という労組もあった。　だが、私鉄では三十一組合がストライキで闘った。中小では、時間外拒否闘争で回答を上乗せさせたところもある。

　春闘は企業の枠を越えて労働者の統一した闘いによって、要求を実現するものである。そうでなければ業績や成果に追いまくられるだけになる。

　そして、ストライキという武器をもたないで、いくら交渉しても資本の側は何も怖くはないのである。やはり、ストを背景に、大衆闘争で闘うからこそ、勝利が可能である。

選挙目当ての日共労働運動

　連合を「左」から批判してきた共産党や全労連は、要求を大きく下げ、支配層が安心する労働運動を進めている。

　共産党は政権入りのために二十一回大会で支配層に恭順の意を示した。それ以来、安保容認、天皇制容認と支配層にすり寄りってきた。「日の丸・君が代」問題では、共産党が議論に応じると言い出し、法制化の引き金を引き、事実上政府を支援した。

　共産党の第四回中央委員会総会で、不破は「雇用防衛と拡大のための三つの中心点」として①労働時間の短縮で雇用を構造的に増やす、②解雇・リストラの規制にふみだす、③福祉・教育・防災など国民生活の分野で雇用拡大、としている。要求は、資本の側に受け入れられるささやかなものである。

　また、その実現のために「大衆闘争で闘い取る」という言葉はどこにもない。総選挙において「日本共産党の躍進こそ」が要求実現のカギとしている。つまり、労働者の力を闘争ではなく、主として総選挙に動員しようとするものである。かつての「教師聖職論」「自治体労働者奉仕者論」などっを掲げて、労働者の大衆的な闘争に敵対してきたことがある。

　共産党は「左」を装っているが、実際には闘わない裏切り者である。だが、社会党が解体したもとで、真面目な活動家や労組幹部を惑わす。労働運動の発展のために、共産党を暴露することは、先進分子の重要な任務である。

共同して大衆闘争を発展させよう

　こうした状況だが、労働運動の中には積極面もある。

　連合は一昨年から労基法改悪に反対し、全労協などとと共闘し、大規模に闘った。昨年はメーデーでデモ行進を復活させた。そして労働者派遣法改悪反対闘争でも、派遣ネットワークなどとの共同行動を進め、国会前座り込みなどで闘った。

　規制緩和に反対して、タクシー労働者の全自交労組や全国港湾も闘っている。

　そして六月には、雇用・生活危機突破を求め中央での一万人行動をはじめ全国で闘った。このようにナショナルセンターの枠などを越えた共同行動、大衆を動員した闘いこそ力である。

　また、新ガイドライン問題で、海員組合、航空、港湾などの労組がナショナルセンターの枠を超えて闘った。

　地方連合は北海道や九州、沖縄で大規模に闘った。最近の盗聴法や日の丸・君が代問題でも闘いが進んでいる。こうした闘いの先頭に立ってこそ、労働者階級が指導階級としての役割を果たせるのである。

　労働組合の幹部、活動家は、九九春闘を真剣に総括し、労働運動の再生のために奮闘しよう。

日経連による春闘総括

1)グローバル経済化に伴う競争激化、不況の長期化による企業業績の悪化と先行き不透明という状況の中で、労資間で危機の共有が図られ、一部の産業・企業では定昇のみで解決するなど、史上最低の賃上げ率となった。

2)一部の企業では、期間を限っての賃金カットや法定内での所定労働時間の延長、時間外割増率の引き下げなどの緊急避難的な措置が行われた。

3)業績や付加価値生産性に応じた人件費支払い能力に基づく自己責任型の賃金決定の動きが加速され、従来以上に横並びが排された。

4)雇用をはじめ賃金、ボーナス、退職金、年金を含めた総額人件費管理からの対応がされた。

5)ボーナスが従来にも増して企業業績を反映した形で決まり、業績連動型の導入が進んだ。

6)自動車では、労組からの個別賃金要求に対して、従来通りの平均賃上げ方式の回答に加え、年齢・勤続年数をベースとせずに、職務・資格でのポイント回答を示した企業がみられた。

7)人事処遇制度の能力・成果主義化に向けた見直しが進められた。