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中小企業経営セミナー

アジアと共生の産業交流を


 専修大学経営学部と同経営研究所は六月二十六日、「ベンチャービジネスとアジア」と題した「地域と大学を結ぶセミナー」を生田キャンパスで行った。

 七月に中小企業近代化促進法が中小企業経営革新化法に変更される。中小企業政策が転換期をむかえる中、二百人を超える経営者や学生が参加した。

 基調講演ではまず、海外展開企業を支援するネットワーク組織「海援隊」の増田辰弘・代表幹事が「今まで日本企業のアジア投資は、大企業の投資であった。組織的な大型の投資で、工場建設、工業団地の整備、一〇〇%子会社の日本本社主導のやり方だった。今はこれが一八〇度変わった。大企業は『過剰』三兄弟(設備、雇用、債務)で動けないし、経営そのものが危ない。これからのアジア投資は、大企業ではなくて中堅企業の投資である」とした上で、「アジアと共生するために、進出先国をよく理解すべきだ」と述べた。

 続いて一橋大学教授の関満博氏が「これまでアジアを『安くて豊富な労働力』とみてきた。だが、アジアには『巨大な市場』『頭脳』『基盤産業』もある。中国は鉄鋼、発電、自動車などの基盤産業がすでにあるし、北京にはシリコンバレーができており、科学技術の産業化を目指している。わが国は不況が長引いており、こうした中国のハイテクとどうつきあっていくのか、考えるときだ。東京都大田区や川崎市がアジアと交流すれば、技術の集積が進み、お互いのためになる。アジアは経済危機といわれるが、むしろ日本のほうが元気がない。私は元気のない学生に『上海に一週間くらい行ってみろ。そうすれば、きっと元気になれる』と話している」と元気なアジアに見習おうと訴えた。

 その後、中小企業の進出を支援する深せんテクノセンター代表幹事の石井次郎氏、中古の機械やラインを輸出する堀事務所の堀淑美氏が加わり、シンポジウムが行われた。シンポジウムでは、いかにしてアジアとつき合うかをさまざまな点から議論が行われた。


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