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8000人が緊急に結集

許すな盗聴法! 怒りの集会


 通信傍受法(盗聴法)案など組織的犯罪対策関連三法案は、衆議院で「自自公」による強行採決をへて参議院に送られた。これらの法案は国家権力による監視社会、危機に備えた体制づくりである。弁護士をはじめ労働組合や宗教団体などは、これら法案の危険性を指摘、反対運動を強めている。全国から廃案へ追い込もう。


 「許すな盗聴法! 大集会」が六月二十四日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれ、労働者や市民など約八千人が参加した。主催は、大津健一氏(日本キリスト教協議会総幹事)などの宗教者や、海渡雄一氏(弁護士)ら法律家、労働組合など、二十三人が呼びかけた実行委員会。盗聴法反対の取り組みでは、最大規模の集会となった。

 集会では、社会民主党の土井たか子氏をはじめ、民主党、二院クラブ、さきがけ、共産党などの代表が参加、それぞれあいさつした。

 労働組合では、全労協、全労連が発言。連合からは笹森・事務局長のメッセージが読み上げられた。また日弁連から飯塚孝・東京弁護士会会長があいさつした。

 集会後、参加者は二つのコースでデモ行進し、都内に「盗聴法反対」のシュプレヒコールを響かせた。

〈発言要旨〉

飯塚 孝 東京弁護士会会長

 日弁連は組対法関係についてはすでに九六年の八月から対策協議会を発足させている。九七年の定期大会では、問題点があることを指摘し、反対の決議をしている。特に盗聴法に関しては、通信の秘密、プライバシー侵害、適正手続の保障など、憲法に違反する項目、刑事訴訟法に違反する項目が二十九項目あることを指摘して反対運動を続けてきた。六月一日に修正をへて衆議院本会議で可決されたが、基本的に憲法に違反していることに変わりがない。日弁連はマスコミ、労組のこのような反対運動の盛り上がりの中で、ただちに参議院に向けて、反対運動を力強く行う決意だ。

笹森 清 連合事務局長(メッセージ)

 連合は慎重審議を求めてきた。審議不十分のまま突如とした強行採決、非民主的国会運営に強く抗議する。

 憲法に抵触する盗聴を認めていいのか、個人のプライバシーや人権の問題、あるいは正常な労働組合、市民活動の脅威につながる危険性などの論点が解明されていない。対象犯罪の予備的傍受、別件傍受など捜査機関の拡大解釈を生む恐れが強く、盗聴に立ち会うNTT職員の責任の重さ、労働の加重などが明らかでない。また労働組合の正当な争議権に拡大解釈の恐れなど、労働組合活動や市民生活上からの疑問点も多い。連合は法案に強く反対する。

酒田 充 全労協

 全労協は国鉄闘争勝利、新ガイドライン反対、労働法制改悪反対を三位一体の闘いとしてこれまで国会前の座りこみ闘争、議員への要請行動などを取り組んできた。

 昨年、労基法が改悪され、現在派遣法、職安法の改悪がされようとしている。文字どおり首切り自由の社会、雇用、賃金の破壊が押し進められようとしている。

 組対法の真の狙いは、現体制に批判的な政党、マスコミ、自治団体、労働組合の運動を警察権力をもって介入、規制する狙いをもっていると思う。全労協は盗聴法を始めとする法案の廃案を求めて最後の最後まで闘い抜く。


全国でも反対集会

 全国各地でも労働組合、弁護士会などが反対集会を取り組んでいる。

 大阪では十八日、「国民の権利を踏みにじる『盗聴法』反対大阪府民集会」が開かれた。主催は連合大阪傘下の労組などでつくる大阪平和人権センターで、集会には約五千人が集まった。

 神奈川では二十三日、「盗聴法案の成立を許さない神奈川緊急集会」が開かれた。社会文化法律センター、神奈川平和運動センターなどの共催で、約五十団体から二千三百人が参加し、県内で最大規模の集会となった。集会には横浜弁護士会や連合神奈川、宗教団体などの代表が参加。NTT労組組合員が「NTT社員が初めに習うのが、通信の秘密。法案はモラルを根底からくつがえす」と訴えた。

 静岡では十日、県労組評議会や静岡地区労組連合会などでつくる「盗聴法に反対する市民の会」が集会を行った。

 その他、福岡で二十一日、宮城では二十三日にそれぞれ県弁護士会が主催する反対集会が開かれた。

 神奈川県厚木市議会では二十一日、法案の撤回と見直しを求める意見書の国への提出が採択された。一部の自民推薦議員も賛成した。


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