「日の丸・君が代」法制化
運動を結ぶ「共同声明」が集会
教師、在日外国人、宗教者らが批判
「日の丸・君が代」法制化策動が強められる中、六月二十日に「『日の丸・君が代』法制化に反対する集会」が東京で開かれた。主催は「『日の丸・君が代』の法制化に反対する共同声明」。「共同声明」には個人四百四人と九十五団体が署名している(六月十七日現在)。
五分間スピーチで構成された集会には全国から約二百人が参加、三十人がそれぞれの立場から発言した。
主催者から「広島県立高校校長の自殺を契機に、自民党・政府は『国旗・国家法案』を提出した。六月五日には大阪府豊中市立中学の校長が、右翼を名乗る青年に刺された。『日の丸・君が代』はまさに暴力のシンボルだ」とあいさつの後、教員、弁護士、宗教者、在日外国人などから発言が続いた。
教員、元教員からは「十年前、学習指導要領が改訂され、『望ましい』から『するものとする』となった。しかしマスコミはいっせいに『義務化された』と報道した。現在の法制では、文部省が入学・卒業式に『これを歌え』と命令することはできない。主権在民の憲法の下、天皇をたたえる歌は憲法違反であり、子どもたちに歌わせることはできない」(元校長)、「六月十一日、仲間の教員が戒告処分を受けた。彼女は入学式で君が代のピアノ伴奏を断わっただけだが、公務員の飲酒運転や贈収賄に適用される地方公務員法三三条に違反したとされた。日の丸・君が代を拒否して三三条が適用されるならば、教育活動はどこまで保障されるのか」(小学校教員)。
在日韓国・朝鮮人の立場から女性二人が発言。外国人登録証に反対する運動をしている女性は「『日の丸・君が代』という言葉には、朝鮮を侵略し戦後責任を認めない日本が重なって見える。戦犯である天皇を象徴とするのは、国家的ごまかしだと思う。私は小学校は朝鮮学校に通っていた。中学で初めて日の丸を見ながら君が代を歌った。朝鮮人でありながら君が代を歌う自分がいやだった。次の世代に同じような思いはさせたくない」と語った。
また夫の父がBC級戦犯として銃殺された女性は、「私たちが日本の中で誇りをもって生きていくのは難しい。三人の子どもたちは日本人にいじめられることで韓国人として目覚めていった。日本は歴史を認めなければ日本人としての誇りをもつこともできないだろう。歴史を知っている私たちが死ぬのを待っているようにさえ思う。法制化がされれば、『一人の異端も許さない』とする社会になるのではないか。強く反対したい」と訴えた。
その他、沖縄からまよなかしんや氏が参加、「戦争に加担したくない」などと歌でアピールした。
盗聴法、国民総背番号制
「盗聴・監視社会はイヤだ」と集会
「盗聴・監視社会はイヤだ! 市民集会」が六月二十二日、東京で開かれ二百人が参加した。集会は、人権やプライバシー保護の課題などで活動し、盗聴法案や住民基本台帳法改悪案(国民総背番号制)に反対している市民グループが共同して開いたもの。
パネルディスカッションでは、弁護士の海渡雄一氏、富山大学教授の小倉利丸氏、自動車のナンバーを盗撮、解読するコンピュータシステムで全国の道路に設置されているNシステムについて調査しその危険性を呼びかけている原島望氏、ジャーナリストの斉藤貴男氏が発言した。
海渡氏は、「盗聴法は参議院の趣旨説明が行われている段階で、委員会審議に入れていない。これは反対している野党の力であり、国民が声を上げていけば廃案に追い込めると信じている。二十四日に東京で『許すな盗聴法大集会』を準備しているが、これまで呼びかけにこたえなかったNTT労組や民放の労組、NTTの社長までがこたえてくれるようになり、状況は変わっている。政府に反対の声をぶつけていこう」と、運動を呼びかけた。
原島望氏は「Nシステムは八七年から設置されはじめた。当初警察は『盗難車や犯罪に使われた車を検挙するため』といっていたが、最近では『検挙のため』といわなくなった。そしてこの一年で日本海岸沿いの新設が急増した。この問題はプライバシーの問題だけでなく、有事の際の活用も考えられているだろう」と、同システムの危険性を指摘した。
小倉利丸氏は、「盗聴法は、日本国内だけの問題ではなく、国際的情報収集のしくみの一つである。米国や欧州などを結んで通信の情報を集め、解析する世界的なプロジェクトが進められている。日本の盗聴法もその一環ではないか。またCIAは、米国と日本の政府間で盗聴法について協議があったかどうかの情報公開請求に対し、『回答しない』と回答した。これは米国の国家安全保障に関わる問題に対する態度と同じ。CIAが日本国民の情報に関心があると知りながら、法案を通そうとしている日本政府は誰のための政府なのか」と問題提起した。
斉藤貴男氏は、住民基本台帳法改悪案について「全国民を番号で管理するものだ。政府がいうように住所、氏名、性別、生年月日を記録するだけならば、膨大な情報を記録できるICカードでなくてもいいはずだ。今はそういっていても、先にはあらゆる個人情報が記録されることになる」と危険性を訴えた。
集会に参加した国会議員からも、「今の政府は『悪いことはまとめてやっとけ政権』とでも言える。野党共闘で闘おう」(社民党・保坂衆議院議員)などの決意が述べられた。
盗聴法や「国民総背番号制」などの危険性は、最近のマスコミなどでも明らかにされ、国民の関心が高まっている。
米軍用地特措法再改悪 地方分権整備法案
分権を装い国に権限集中
沖縄・反戦地主会が反対集会
六月十五日、東京で集会「私たちは許さない! 米軍用地特措法の再改悪」が開かれた。主催は沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック。
沖縄現地から有銘政夫氏(沖縄軍用地違憲訴訟支援県民共闘会議議長)、照屋秀傳氏(「権利と財産を守る軍用地主会会長)、当山栄氏(一坪反戦地主会)がそれぞれ特措法再改悪を許さない決意と闘いの方向性などについて発言した。
有銘氏は「国会はまったく体をなしていない。なんのための国会か」と自自公体制による国会審議を批判した上で、「闘う私たちの側の自覚をもっと倍加しなければならない」とし、来年に予定されている沖縄でのサミットについても、「現在沖縄ではサミットに向けて米軍基地の警備が強化されている。本当の意味でそれを突破する闘いを」と呼びかけた。
当山氏は特措法改悪の闘いを「那覇軍港の浦添移設反対、北部軍事空港反対の闘いとともに繰り広げていく」と決意を述べた。闘いの方向性についても「来年のサミットに対抗して私たちの間では『民衆サミットを開こう』という声も出てきている。新たな闘いを模索している」と発言。
沖縄からの報告の後、特措法再改悪と地方分権推進法案のポイントについての解説があった。またこの間、特措法再改悪を許さない署名運動について立川市職労などからの報告が行われた。最後に、照屋氏が「土地を返せ」を歌い、参加者一同も唱和して幕を閉じた。
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