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新ガイドライン関連法

採決強行に内外から抗議

協力拒否の運動継続を


 新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法案は五月二十四日、国民の反対の声を無視して成立した。二十四日をはさんで全国で反対集会やデモが行われた。また法案成立に対して、アジア諸国からの批判の声も高まった。


東京・護憲フォーラム 採決強行抗議集会

全国から2500人結集

 新ガイドライン関連法案が成立した翌日の二十五日、憲法擁護・平和・人権フォーラムは東京で「『周辺事態法』採決強行抗議集会」を行った。

 会場となった芝公園には全国から労働組合員など二千五百人が結集し、法案成立に怒りの声を上げた。

 フォーラム代表の山口鶴男氏は「少なくとも三党が反対する中、四月に国会説明が始まり、一カ月余りでこのような怒りの集会をもつことになるとは、今までにない暴挙だ。われわれも力不足を反省しなければならない。今後、憲法『改正』が問題になるだろう。憲法を守るために、元気を出して闘おう」と呼びかけた。

 社会民主党を代表してあいさつした土井たか子党首は、「社民党は、危険な政治、戦争への道を許さない闘いを進めていく」と反動政治と闘う決意を述べた。

 この間、労働組合などと共同して闘いを進めてきた「宗教者たちの『平和を求める』つどい」実行委員会からは、日本キリスト教協議会総幹事の大津健一氏がアピール。大津氏は、「関連法は憲法九条に違反する法律だ。成立した昨日は韓国にいた。韓国の女性たちは、もし自衛隊が韓国に上陸するなら絶対に阻止すると言っていた。参加している労組も、アジア諸国の労組とつきあいがあると思う。私たちは、立場やイデオロギーの違いを超え、非暴力で協力しない反対運動をしていこう」と訴えた。

 集会後、参加者は国会へ向けてデモ行進を行った。


大阪・国民連合 公開シンポ開催

どうなる進路と地方自治

 五月二十九日、大阪市内において、自主・平和・民主のための広範な国民連合・大阪主催による公開シンポジウム、「どうする日本の進路、日米新ガイドラインと地方自治」が開催された。

 パネラーは竹岡勝美氏(軍事評論家、元防衛庁官房長)、和田進氏(神戸大学教授、憲法学者)、江渕征香氏(高知県会議員)、コーディネーターは丹羽雅雄氏(弁護士)。

 竹岡氏は、「周辺事態とは、明らかに朝鮮有事の想定。米軍の後方支援で日本の基地が使われれば、報復措置(ミサイル発射)も十分に考えられる。朝鮮敵視に加担するよりも平和外交を進めるべきだ」と訴えた。また日米安保条約そのものも日本の安全保障には役立たず、友好条約に改めるべきだと訴えた。

 和田氏は、「九〇年以前と以後で、専守防衛から海外派兵へと、安保の性格が大きく変わってきた。背景には、世界的な規模での権益確保を求める米国と、アジアに展開する日本の経済界の要望がある。憲法の精神に基づく真のアジアの平和を」と訴えた。

 江渕氏は、非核港湾条約制定に向けた高知県での闘いを紹介し、自治体レベルでの運動の必要性を訴えた。

 百余名の参加者からも熱心な質問が相つぎ、シンポは熱気のうちに散会した。


アジア各国から高まる批判

◇中国 工人日報(5月26日)

「警戒すべき『関連法案』」

 世界に覇を唱えようとたくらむ米国の戦車に日本を縛りつけ、日本をアジア太平洋における米国のための「警察官」にした。

◇中国 香港 大公報(5月26日)

「日米の結託はアジア・太平洋地域に脅威与える」

 アジア各国人民は日本軍国主義の復活に対して高度の警戒を保つべきだ。

◇朝鮮民主主義人民共和国朝鮮中央放送(5月26日)

 日本の海外侵略策動を法制化したものであり、わが国を主な攻撃対象とする日本反動らの再侵略戦争策動が危険な境界線を越え、目前の現実になったことを示している。

◇インドネシア ジャカルタ・ポスト(5月25日)

 日本の国会は国内と中国からの強い抗議にもかかわらず、米国との軍事的結びつきを強める法案を可決した。この法律は第二次世界大戦以来初めて、日本の軍隊がみずからすすんで日本の国外で行動することを許すものだ。

◇フィリピン マニラ・ブレティン紙(5月25日)

 地域での日本の軍事的役割を拡大することをねらったものだ。


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