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NATOは空爆を即時停止せよ

政府は侵略に加担するな


 三月二十四日(現地時間)、米国を先頭とする北大西洋条約機構(NATO)軍によるユーゴスラビア空爆が開始され、すでに五十日以上攻撃が続いている。

 これは明らかな主権国家に対する武力介入・侵略であり、断じて許されない。国連を無視し、国際法を踏みにじる暴挙である。

 この間にNATO軍は、一万二千回以上の攻撃を行った。そのためユーゴスラビアでは民間人六千二百人以上が死傷するなど大きな被害が出ている。そして五月七日には中国大使館が爆撃され、三人が殺された。

追い込まれたNATO

 このようなNATO軍の攻撃に国連のアナン事務総長やギリシャのシミティス首相などは、国連決議なしに攻撃したことを批判した。

 NATO加盟国でも、イタリア大統領のスカルファロ氏はNATO軍の空爆停止を求めている。米国、ギリシャ、ドイツなど世界各地で、空爆停止を求めて大規模な抗議集会やデモが繰り広げられている。

 米国などは、短期間でユーゴを押さえつけられると空爆を開始したが、ユーゴ国民は侵略に屈せず、その思惑は外れた。

 NATOは事態打開のために五月六日、日米欧とロシアによる主要八カ国会議(G8)を開き、和平へ向けた合意を打ち出した。

 しかし、中国大使館が攻撃されるや、中国政府はNATOの主権侵害と厳しく糾弾、中国全土で数十万人の抗議デモが繰り広げられた。G8合意による解決ムードはいっしゅんにして破たんした。

 中国政府とロシア政府は、急きょ会談し、1空爆の即時停止が政治解決の前提、2政治解決策にはユーゴの同意が必要の二点で合意。共同対処していく方針を発表した。米国などNATOは打つ手のない窮地に追い込まれている。

空爆即時停止に立ち上がろう

 ところが、わが国政府は、NATO軍の空爆が開始されると即座に攻撃を「理解する」と支持を表明。さらに五月三日の日米首脳会談で、小渕首相はユーゴスラビアへの石油輸出禁止などの制裁措置に同意。また、二億ドルの拠出など財政的な貢献だけでなく、G8合意に基づく政治解決に努力すると踏み込んだ。

 わが国政府は、明確に侵略者・米国、NATOの立場に立った。

 ユーゴ情勢は緊迫し、転機を迎えている。全世界の人びととともに、NATOの蛮行に抗議し、空爆の即時停止を求めて立ち上がろう。わが国政府は、NATO侵略者に加担を止めよ。


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