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新ガイドライン関連法案を廃案へ


 周辺事態法案など新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法案の国会審議が進んでいる。政府は小渕首相の訪米までに成立のめどをつけ、訪米の「手土産」にしようと躍起になっている。沖縄で四月十三日に行われた県民大会をはじめ、廃案を求める声と運動が全国に広がっている。各地の動きを紹介する。

沖 縄

県民大会開催に8千人が参加

移転候補地、自治体などが決意


 四月十三日、沖縄県那覇市で「戦争協力法・ガイドライン法案の廃案をめざす県民大会」が開かれ、八千人が参加した。沖縄平和運動センターや市民団体協議会、基地・軍隊を許さない女たちの会、社民党、社大党などが実行委員会を結成して主催したもの。

 主催者あいさつで中村文子・一フィート運動の会事務局長は、「三度目の『戦前』を迎えており、危機感を覚える。新ガイドライン関連法案を廃案にするため、心をあわせがんばろう」と訴えた。

 県民大会では基地の移設問題を抱える地域の代表もあいさつし、新ガイドラインの危険性を訴えた。

 当山全弘・那覇軍港の浦添移設に反対する市民の会代表は、「那覇軍港の県内移設を認めることはできない。浦添に移設され、浦添の一大補給基地であるキャンプ・キンザーと直結されれば、市の発展はありえない。関連法案が通過すれば軍港が戦争に使われるのは明白だ」と訴えた。

 新城春樹・ヘリ基地反対協代表は、「名護市民投票で示した県民の気持ちは、基地のたらい回しに反対だ。あちこちで基地の誘致運動が起きているが、なぜ県民同士で争わなければならないのか」とあいさつした。

 自治体からは石垣市の大浜市長が「法案は市町村への協力押しつけがあり、断れなければ戦争に加担することになる。地方自治の意義が問われている。石垣市は独自の港湾条例を制定し、核搭載船の入港は認めない」と表明した。

 労働者の立場からは、狩俣吉正・自治労県本部委員長が「法案が成立すれば労働者はいやおうなしに、すべての分野でかり出される。私たちは殺されたくない。法案成立を絶対に許してはいけない」と述べ、運動の発展を訴えた。

 県民大会では「政府は戦争放棄の平和憲法を根本的に否定し、米軍への協力で日本をまるごと米軍基地にしようとしている。このままでは平和な未来が遠ざかる。戦争のない、基地のない平和で豊かな二十一世紀の沖縄・日本をつくろう」とするアピールを採択し、集会後にはデモ行進で県民に新ガイドライン関連法案の廃案を広く訴えた。


東京

戦争協力を許さないつどいに二千人

 四月十五日、東京・日比谷野外音楽堂で「通すな、つぶせ! 新ガイドライン法案 戦争協力を許さないつどい」が開かれ、二千人が結集した。つどいでは、一坪反戦地主会や全国港湾、航空安全会議、在日韓国民主統一連合などが報告。集会後は国会へのデモ行進が行われ、力強いシュプレヒコールが国会周辺に響いた。


東京弁護士会 研究討論集会

関連法案は憲法違反

 東京弁護士会は四月二十日、「国会議員と憲法学者を迎え『新ガイドライン関連法案を考える』研究討論集会」を東京で開催し、弁護士など二百五十人以上が参加した。

 飯塚孝・東京弁護士会会長は「安保再定義、関連法案は安保の範囲を日本からアジア・太平洋に拡大し、憲法が禁じる集団的自衛権にまでおよんでいる。われわれは国民の人権を守るため三月十日に政府に関連法案の慎重な審議を求めた」とあいさつした。

 山内敏弘・一橋大学教授が問題提起を行い、周辺事態法案の「地理的概念」など政府の説明はあいまいで、憲法にも抵触すると批判。さらに、民主党や自由党の修正案も集団的自衛権に抵触すると批判した。

 各政党の国会議員も参加したが、民主、自由などは言い訳に終始。参加者は幅広い国民運動を発展させることの重要性を感じた。


愛 媛

団体が広く共同して集会

廃案へ決意あらたに


 四月十五日、松山市駅前において「新ガイドライン関連法に反対する愛媛集会」が同集会実行委員会の主催で開催された。集会実委は、広範な国民連合・愛媛などが広範な平和を願う団体、個人に呼びかけて結成されたもの。

 集会には「愛媛、沖縄ゆいまーるの会」、新社会党、広範な国民連合・愛媛、日米新安保ガイドラインと有事立法に反対する百万人署名運動愛媛県連絡会、全港湾松山支部、YWCAなど広範な団体、市民が集まった。

 集会では、全港湾松山支部から「私たちは松山港に米艦船が入港するようなことは絶対反対である。そうなれば、市民生活を支える港湾の仕事が片隅に追いやられ、市民生活に多大な悪影響をおよぼす。たとえ、どんな弾圧があろうとも断固反対して闘う」と力強い発言があり、参加者を奮い立たせた。

 集会では次つぎに参加者がマイクを握り、戦争協力法案反対を訴えた。

 集会後、「NO!戦争協力法案」とかかれた横断幕を先頭に、松山市内の繁華街を意気盛んにデモ行進を行った。参加者は「新ガイドライン関連法案反対! 戦争協力法反対! 日米安保反対! あらゆる戦争政策反対! 松山港の軍港化反対! ユーゴ空爆反対!」とシュプレヒコールを繰り返し、道行く人びとに戦争反対を訴えた。

 デモ終了後、参加者は「何か反対行動をしなければと思っていたが、今日のような取り組みができてよかった」「勇気が湧いてきた」「デモはすごい迫力でよかった」「労働者が多数参加して力強く感じた」などと、瞳をキラリと光らせながら、口々に闘いの確信を話し合った。

 なお、社民党からは「地方選の取り組みで手いっぱいだが、参加できる人には参加してほしいと声をかけている。四月二十六日には東京で中央集会を開き、愛媛からも参加する予定だ」との伝言が入った。


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