資 料

NATOの空爆に対する抗議声明

ユーゴスラビア連邦共和国駐日大使館


一、ユーゴスラビア連邦共和国に対する北大西洋条約機構の軍事侵略は、一九九九年三月二十四日午後八時に始まった。独立の主権国家であり、国際連合の創設メンバー国に対するこの凶暴な攻撃は、ユーゴスラビア連邦共和国のいかなる種類の違法行為、ないしは隣国やNATOのメンバー国に対する脅迫によって引き起こされたものではない。それは、国連憲章やヨーロッパ安全保障協力機構―ヘルシンキ最終文書―の中に収められた基本的原則のあからさまな侵害である。それは、国際関係の将来に重大な影響をもたらす国際的法秩序の基礎そのものを掘り崩すものである。

二、セルビアとユーゴスラビアに対する空爆は、コソボとメトヒヤおよびその地域の分離主義とテロリズムをいっそう力づけて政治的民主的解決の見通しを危うくさせている。この侵略は、地域的平和と安定にとって予測し得ない結末を招くバルカンおよびヨーロッパにおける危険な不安定化を引き起こし得るものである。テロリズムは、―今日の世界における普遍的な悪であるが―コソボとメトヒヤにおいて、世界の他の場所と同じように糾弾されなければならない。

三、ユーゴスラビア連邦共和国政府は、国連安全保障理事会を通じてNATOの侵略の即時中止とそれを強く非難することを要請した。また、その主権と領土保全およびあらゆる可能な手段で自衛する当然の権利を安全保障理事会が支持することを要請した。

四、主権の平等、民主主義、人間の価値、法の支配および総合的発展にもとづく、もっと公正な新世界秩序は爆撃によって人びとを殺し、建物、通信手段、インフラストラクチャーを破壊し、人間的な破局を引き起こすことによって達成することはできなくて、すべての紛争と問題を政治的に解決することによって達成できるのである。これが平和をもたらし、バルカンを《ヨーロッパの火薬庫》から安定と繁栄の地域に変える唯一の方法である。

五、ユーゴスラビア連邦共和国と国民は、自由、独立、主権、領土保全およびその尊厳を守ろうと団結し、決意している。われわれは、国連憲章の基本的原則を守り、ユーゴスラビア連邦共和国とその地域だけでなく、全体としての世界の平和、安全と安定を維持する上で、世界中の理解と支持を期待するものである。

六、ユーゴスラビア連邦共和国政府はコソボとメトヒヤに住むすべての民族共同体の利益を守り、平等を保障する平和的政治的合意を守ることを再度表明するものである。また更なる交渉と直接的対話を通じて達成され、調印されるそのような協定の遂行のための国際的兵力の駐留の範囲と性格を考慮する用意があるものである。(一九九九年三月二十五日)


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