990325


新ガイドライン関連法案

海員、港湾の3労組、女性団体など
反対声明相つぐ


 国会で審議中の新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)関連法案に対し、集会やアピールなど反対の声が高まっている。

 憲法擁護・平和・人権フォーラムは三月十六日、東京・日比谷野外音楽堂で「異議あり新ガイドライン、有事立法いらない」集会を行った。

 報告に立った沖縄平和運動センターの瑞慶山浩副議長は、政党や平和運動センターが共同して四月半ばに県民大会を開くことなどを報告した。

 集会後には国会周辺をデモ行進し、「周辺事態法を廃案に」「政府は憲法を守れ」などとシュプレヒコールをあげた。憲法フォーラムでは四月二十六日に、大規模な集会を予定している。


 三月十九日には、海員組合や全国港湾、自治労特定重要港湾等連絡協議会が、新ガイドライン関連法案の廃案を求める共同アピールを発表した(要旨別掲)。また、全港湾は同日、港湾の軍事利用に反対する、約一万三千人分の署名を国会に提出、新ガイドライン関連法案に反対し、国会要請行動を行った。要請行動には全国から代表者が参加した。

 女性団体や憲法学者なども共同アピールや声明を発表している。日本婦人会議や日本YWCA、婦人民主クラブなどでつくる「『止めよう戦争協力法』女たちの連絡会」は十六日、全国四百六十八人の連名で、新ガイドライン関連法案に反対する女たちの共同アピールを発表した。また、全国憲法研究会は十六日、有志二百十四人の連名で反対の声明を発表した。


新ガイドライン関連法案に反対する海員・自治体・港湾労組の共同声明

 海員・自治体(港湾管理職員)・港湾労働者の三労組は、周辺事態措置法案など新ガイドライン関連三法案に対して、海運・港湾運営に係わる共通の立場から共同して反対であることを声明し、廃案にするよう強く訴えます。

 第一に、法案は、日本国憲法や国際法の理念と原則を否定し、アメリカが引き起こす戦争に日本が自動的に参戦・協力する体制づくりを進めるものです。

 第二に、法案には、「後方地域支援」として米軍への軍事物資輸送の協力が含まれ、この兵站行動は米軍との交戦国にとって敵対軍事行動となり、わが国は戦争当事国とみなされることになります。船員はイラン・イラク戦争などで、中立国船でありながら砲火に巻き込まれ死傷者を出しました。港湾は後方地域支援の拠点になり、港湾の管理者である自治体の職員も港湾労働者も攻撃される可能性があります。

 第三に、法案は、地方自治体や民間の協力を求めるとなっていますが、これは事実上の強制力をもつものです。自らの意志に反して船員が、米軍の軍事物資輸送に駆り出され、港湾労働者も軍事物資荷役を強制されます。自治体労働者もまた、後方支援拠点としての港湾管理の任務に就かされることになります。このように、ガイドライン関連法案は、「非戦闘要員」である船員・自治体労働者・港湾労働者を、「戦争の推進者」に強制的に変えてしまい、基本的人権をも踏みにじるものです。

 第四に、新ガイドラインには、「新たな基地の提供」を明記しています。これは、地方自治権を否定し、港湾の基地化を想定するものです。戦前の港湾は国家管理でしたが、戦後、港湾法が制定され、港は地方自治権に裏打ちされた自治体によって民主的に管理される体制ができました。港湾は、地域経済・国民生活を支える物流の拠点であり、軍事利用されると、物流はたちまちのうちに滞る事態が危ぐされます。

 船員は、第二次大戦で陸海軍人の死亡率を上回る六万人余の戦没者を出した痛恨の経験からも、その後も世界各地で幾多の戦火の海に航海し辛酸をなめてきた経験からも平和な海を強く希求し続けてきました。自治体労働者、港湾労働者も、第二次大戦では港湾施設が主要な軍事拠点として攻撃を受け、多くの仲間が殉職した痛恨の事実を忘れることはできません。

 平和な海と港を守るために、仮に国際紛争が起こっても、武力によらない互恵平等の対話などの平和的手段で解決されるべきであることを、私たちは強く要求します。これは、憲法で、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起きることにないよう世界に決意したわが国の誇りある責務です。

 私たちは、日本と日本国民が戦禍にみまわれることに強く反対し、私たち自身が「民間の戦闘要員として加害者」となることを断固として拒否することを声明します。

  三月十九日
全日本海員組合
自治労特定重要港湾等連絡協議会
全国港湾労働組合協議会


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