990225


全国へ広げよう 周辺事態法廃案の運動を


東京 「戦争協力を許さないつどい」
韓国、フィリピンからも報告

 二月十四日、東京で「春一番、新ガイドライン関連法案を吹き飛ばせ! 戦争協力を許さないつどい」が行われた。これは島袋宗康氏(参議院議員・沖縄社会大衆党委員長)などの国会議員、高里鈴代氏(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会共同代表)をはじめ全国の反基地・平和団体の代表や労組、学者文化人などの実行委員会が主催したもの。

 集会には自治労、全水道、国労などの労働組合や全国の反基地・平和運動を闘う人びと約千三百人が参加した。

 前田哲男氏(東京国際大学教授)が講演で「新ガイドライン関連法案の『周辺事態』があいまいなだけでなく、自衛隊の米軍への後方支援についても、自衛隊法の改正ではなく、雑則の改定で自衛隊出動を行おうとしている。政府のやましさが法案にも出ている」と指摘した。

 そして最近の米艦船の民間港への寄港について「政府が米軍に対し『日米地位協定』に基づいて寄港するように悪知恵をつけた。日米地位協定に基づけば、積荷の内容の紹介もふ頭使用料もいらない。これらは新ガイドライン関連法成立前にその実態をすでに行っている」と批判した。

 北海道から沖縄までの基地に反対する団体から報告が行われた。そのなかで、自治体での周辺事態法反対の決議をあげることや市長に反対するように要請する運動が特徴的であった。

 ピースリンク呉・広島・岩国の湯浅一郎氏は「自治労、教組、部落解放同盟など四十団体が共同して、広島県内の八十七自治体、岩国市へキャラバンを行い、自治体が反対するように要請している」と報告し、全国でも自治体、地方議会で新ガイドライン関連法案反対の決議をあげる運動をすすめようと訴えた。

 また横須賀でも周辺事態法案に賛成する市長に対し、反対の意見広告運動に取り組んでいることが報告された。

 フィリピンのカドル・アロウヤル氏(新愛国主義者同盟「BAYAN」副議長)は、「現在フィリピンでは、三月に米軍一時駐留地位協定(VFA)を批准する動きがある。九一年に米軍基地を撤去させたが、VFAによって米軍が再び戻ってくることに反対の声が大きくなっている。VFAと新ガイドラインは米軍のアジアでの干渉・侵略を支えるものであり、連携して闘おう」と訴えた。

韓国仏教人権委員会の代表は、「かつてアジアを朝鮮を侵略した日本は、歴史を反省し、絶対に戦争を起こしてはならない。愛国民衆は戦争を企てるものに鉄槌を下せ」と熱烈に訴えた。

集会決議を採択した後、参加者はデモを行い周辺事態法の廃案などを訴えた。

 なお、日本労働青年団は集会参加者への激励行動を行った。


愛知 新ガイドライン関連法案反対の世論を
東海の大学教員らがアピール

 二月十二日、勝守寛・中部大学名誉教授、森秀樹・名古屋大学教授、寺尾光身・名古屋工業大学教授ら東海地区の九人が名古屋市内で記者会見を行い、新ガイドライン関連法案に反対するアピールを発表した。このアピールには大学、高校の教員ら四百二十五人の多くの賛同署名が寄せられている。

 寺尾氏は「高等教育にたずさわる私たちが、この法案に警鐘をならして世論を喚起するためにできる限りのことを行いたい」とアピールの趣旨を説明。アピールは首相や各政党に郵送するほか、ポスターをつくり各大学に配布する予定。


私たちは新ガイドライン関連法等に反対します
学生・市民の皆さんへのアピール
(抜粋)

 新ガイドラインに実効性を持たせるための法案と協定が、いま国会で審議されています。「周辺事態法案」を中心に「自衛隊法改正案」および「日米物品・役務相互提供協定改定案」です。これらは、米国が行う戦争に日本を巻き込み、市民にも戦争協力を強いるものです。

 「周辺事態法」は自衛隊の海外派兵を合法化するものにほかなりません。「周辺事態」が生じた場合、自衛隊は、後方地域支援を行います。後方地域支援の中には、米軍の軍事行動に必要な物資の供給、兵員や武器弾薬の輸送、軍艦・飛行機・戦車その他の武器の修理・整備、傷病兵の病院収容・治療、空港・港湾業務、米軍部隊の宿泊など多様な活動が含まれます。これらを自衛隊だけで行うのは不可能ですから、民間の空港、港湾、整備工場、病院なども提供を求められるでしょう。「求める・依頼する」という言葉を使っていますが、事実上拒否することはできず、動員と同じことです。

 政府によれば「周辺」は地理的概念ではなく、「周辺事態」の認定は米国が行います。地球上どの地域であれ、米軍が軍事行動を必要と判断したとき、日本は米軍に協力しなければならないことを意味します。

 前大戦に至る過程を私たち日本人は阻止することができず、アジアの民衆に甚大な損害を与え、また、日本国民も苦しみました。若い方たちから、なぜ戦争と侵略に反対し阻止できなかったのかと責める声も聞かれます。当時の大人たちと同じ立場に私たちはいま立たされているのではないでしょうか。昔の轍(てつ)を踏まないためにも、戦争の加害者にも被害者にもならないためにも、私たちはこれら新ガイドライン関連法案に反対致します。

憂慮する東海地区の大学・短大・高専教員・元教員有志


Copyright(C) The Workers' Press 1996,1997,1998,1999