990215


政府、自治体はこの声を聞け

「みんな困っていることは声にしていきましょう」
(20歳代・男性・元製造業)


 長引く不況の中、企業は労働者へのリストラ、首切り攻撃を強め、失業者は三百万人を突破した。労働党の各都道府県委員会は、失業者アンケートを実施、行政に救済措置を行うよう要求している。ここに掲載する文章は、神奈川県委員会が失業者に配布しているアンケートに寄せられた意見の一つである。県党は集まったアンケートを集計し、「失業者ニュース」を発行し、アンケートとともに職安などで配布している。この回答を寄せてくれたのは二十歳代の男性で、製造業の作業現場で働いていたが、三カ月ほど前にリストラで解雇された。今の心境や社会に対する意見がせつせつとつづられている。(見出しは編集部)


心が少しほっとしました

 がんばって下さい。労働党はよく知らないけれども、こんなことしてくれるところはどこにもありません。

 まずは、この「失業者の声」NO・4をたまたま職安で拾ったことに、心が少しほっとしました。苦しんでいる人は自分だけではないのだと。いや、(もっと多くの人に読んでほしいです)自分の声を聞いてくれて、また、どうしていこうと考えてくれる人がいたからです。

 県、市、職安等がするべきことが、行政だからといって、法によって決まっていることをする機関だからといって、話をしても相談をしても、今そういう法律がないからできないのです。「仕事をさがして下さい」、これの一点バリです。

 僕はあと一カ月暮らすお金しかありません。もし、仕事がなかったら路上生活への道へ進むしかなくなるでしょう。生活費の一番最後のお金の借りるところは、サラ金ではなく国に借りるべきです。また、(国は)貸せるところであるはずです。

 社会が、会社が資本主義、利潤追求であるために、そこから取り残される人がでてくるはずです。会社では、よりよい人を求めるため、よりよい人しか受け入れないようになってきました。それが、安く早く、自分の会社が伸びる方法なのかもしれません。

 一番大事なこと、人を育てていく努力をじっくりと長い時間をかけていっしょに働いていこうと思うことなど、もう考えもつかないことなのでしょう。職安にある求人票には要経験、年齢など、仕事があっても、その求人にあう人など、何人もいません。その仕事をやってみたいという気持ちがあっても、ダメです。不採用にして、求人をいつまでも出している会社もあります。

 人はいろいろなことを学びつつ、仕事をしてはいけないのでしょうか。今では何もかもが専門知識が必要とされ、それがないためにいっしょに働くことさえ許されません。

シャイなままでは死んでしまう

 社会では職がないばかりではなく、家のない人たちもでてきました。ホームレスの人たちについて、社会人、政治家、何人の人たちが、どうにかしてあげたいと思っているでしょうか。多くの人は、その人の責任であり、なまけたあげくの果ての姿なのだと言うでしょう。しかし、犯罪者ですら刑務所の中で寝る所があり、食べる物に困ることなく、仕事も与えられるのです。何かがおかしいです。

 もう、この国の大人たちは大人と呼ぶに値しません。資本主義でえた富は、再分配されなければいけません。僕は、仕事について残業できる人たちの心境がわかりません。仕事がなくて困っている人がたくさんいるのに、いったい何を考えているのでしょうか。

 国でつくられた生活保護法では、人が生活できる最低限を保護するとありますが、多くの人が対象外になること、すでにそれ以下の生活をしている人がたくさんいることが現実です。健康で文化的な生活をする権利、労働の権利を今訴えたい人は弱者です。シャイなままでいたら死んでしまいます。みんな困っていることは声にしていきましょう。


資 料

失業者への国民健康保険の減免を要求しよう 自治省は、国民健康保険などについて、退職者、失業者には保険料を減免するなど配慮を加えるべきだとの通達を出している。国保は、国の事務であり、本来なら全国のすべての自治体で減免されなければならない。だが、そうした条例をもたない自治体もあるので、自治省通達を盾に自治体に減免を要求しよう。不明な点などは労働新聞社や労働党各地方組織にご相談ください。

自治省通達

地方税および同法施行に関する取扱についての依命通達(市町村税関係)

前年度に所得があった者であっても、当該年における所得が皆無となったため又は甚だしく減少したため生活が著しく困難となったと認められる者については、その状況に応じて、適宜減免することが適当であること。特に退職者及び失業者については、配慮を加えるべきものであること(法323)

神奈川県川崎市の条例

川崎市国民健康保険条例・保険料減免取扱要綱より抜粋(減免要件)

第2条 区長は、次の各号のいずれかに該当する世帯で、保険料を納付することが困難と認められるものについては、その世帯の納付義務者の申請により保険料を減免することができる。

(1)納付義務者及び当該世帯に属する被保険者の退職、事業の休廃又はこれに類する理由により収入が著しく減少し、又は皆無となった世帯(所得減少世帯)


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