福岡県知事選挙立候補表明

生活と営業の危機打開に役立ち、

県民に親しまれる県民大多数のための県政をめざします

1999年1月22日

日本労働党福岡県委員会副委員長、理論政策責任者 中村 哲郎


福岡県知事選挙立候補表明にあたって

1、私の決意

 私は、4年前の福岡県知事選挙に初挑戦し、麻生現県知事をはじめ各候補者の方々と県政を争いました。残念ながら敗れましたが、7万人をこえる県民の皆さんのご支持をいただきました。

 前回の県知事選挙では、多くの県民が3期12年続いた革新県政の継続を望んでいましたが、その努力がなされないまま、戦後の県政史上はじめて「保・革相乗り選挙」となりました。「大連立」とはいいながら、その実質は自民党と他党のなれあいでした。私は、福岡県民が長年にわたってつくりあげてきた県政民主主義の歴史と伝統をうけつぎ、大企業と財界中心のおごり高ぶった県政ではなく、県民に親しみやすい県政を実現することを訴えました。また、開発政策や経済・産業面でも大都市集中ではなく、周辺自治体や農村部にも気配りのあるバランスのとれた政治の実現が、県民大多数の利益につながることを訴えました。

 県政は、この4年間、大企業・財界の利益優先の自民党主導の政治と他党とのなれあいがつづき、県民各層の利害が根本的に争われることなく経過しました。

 今日、世界の経済危機はきわめて深刻な状態です。世界経済の成長センターとして発展が期待されてきたアジア諸国の経済も激変しました。わが国もバブル経済の崩壊後苦しみつづけ、今なお出口の見えない不況がつづいています。県内でも、企業の倒産は増えつづけ、多くの県民が失業と倒産の危険を感じて不安の毎日を送っています。実際、失業し職を探す人で職安はあふれています。ところが、県政はこうした多くの県民の生活と営業をまもり、支援し、危機を打開するものとは到底なっていません。

 私はバランスと活力ある産業・地域の発展へ県政の基本方向を切り替え、県民の生活と営業の危機打開に役立つ県政、県民に親しまれる心の通った県民大多数のための県政をめざして、再び立候補することを決意しました。

2、行き詰まった麻生県政

 麻生県政のこの4年間は、一言でいえば、多くの県民にとってはきわめて冷たい県政で、さまざまな格差が一段とひろがりました。

 福岡大都市圏への集中政策によって、人口でも、産業間でも格差は是正されず、いっそうひろがりました。人口ひとつをとっても、たしかに総人口では500万人をこえたといいますが、県内4地域のアンバランスはさらに進みました。九州のなかでも他の県と福岡県との格差はひろがっています。地方の商店街はつぎつぎとつぶれ、地方都市は寂れ果てようとしています。所得の格差も広がり、失業問題もますます深刻になっています。また、大都市部でも集中政策の結果、流通戦争ともいえる大型店同士の死活をかけた競争が激化し、中小零細商店がつぶされていくなど、集中政策の各種の矛盾も深まっています。

 筑豊など旧産炭地の振興問題も多くが解決できないままでいます。

 一昨年の三井三池炭鉱の閉山、昨年のアサヒコーポレーションの倒産、大川家具の不況など筑後地域の失業問題、地域経済の疲弊が大きな社会問題となっています。最近では三池炭鉱閉山後の地域振興策の目玉だった大牟田市のネイブルランドが閉鎖に追い込まれ、多額の借金が残されています。

 こうした地域や社会的に弱い立場の人たちは放置され、切り捨てられています。

 また、成長するアジア経済と結んで福岡や北九州の拠点化をすすめようとするさまざまな構想も、アジアの経済危機によって、土台を揺さぶられ、大きな転換を迫られています。

 麻生県政は、まったく行き詰まっているのです。

 今年、1999年は、1000年代の最後の年です。来年は20世紀最後の年となります。時代の大きな転換のなかで、今回の県知事選挙は、21世紀初頭の福岡県と県民生活のあり方を左右する大変重要な選挙です。この選挙で、県政を大きく転換させましょう。

3、県政政策の基本理念

 麻生知事は、県の基本構想として2010年を目標年次とした「ふくおか新世紀計画」をすすめています。その柱は1、アジアにおける交流拠点の形成、2、九州、西日本における拠点性の構築と新たな大都市圏の形成という点に要約できると思います。

 アジアをふくめて、私たちをとりまく環境は大きく変わっているのに、県の構想は、依然として福岡地域に「人」「モノ」「金」「情報」を集積し、その「活力」をあてにして他地域の浮揚をはかろうという、従来の県政政策の延長にすぎず、大都市への一極集中をさらに推進しようというものです。

 この計画では、福岡県がかかえる課題は何ら解決できません。また、赤字再建団体が目前というような県財政の現状をみれば、この計画の推進、達成自身がむつかしいことははっきりしています。

 麻生県知事は、県財政の危機的状況を、大規模プロジェクトはそのままにして、県民生活、労働者への犠牲で切り抜けようとしています。県財政の悪化の原因が、本県の財政構造からみて、中長期の経済見通しを見誤り、財政運営の舵取りを誤った麻生県政の失政であり、県知事に責任があることは明白です。

 大都市集中のために財政をつぎこむ政策に歯止めをかけ、県政の重点をかえることこそ大事なことだと考えます。私は、県の基本構想を、時代を見据えて大きく転換します。

 また、日々困難に直面している失業者や労働者の雇用や生活の問題、倒産や経営危機にさらされている多くの中小零細業者の方々の差し迫った問題、衰退する農村部や地方都市の問題などについて、いわば、気配りのある血の通った県政をめざすべきだと考えます。

 九州は、歴史的にも地理的にもアジアと深くむすびついてきました。アジアと共に発展し、支援しあい、共に生きていくことをめざす福岡でこそ、アジアの人たちと平和のうちに生き、ともに繁栄することができると考えます。新ガイドラインは、アジアの一員として生きるのではなく、アジアと対立する道です。私は、アジアの緊張をつくりだし、対立する政策に協力する福岡となる道はきっぱりと拒否します。

 以上が私の県政政策の基本理念ともいうべきものです。

 21世紀に生きる私たち福岡県民の将来を選択する重要な選挙で、労働党・中村哲郎への絶大なご支持を訴えます。私は、現実に困っている失業者の皆さんや労働者の皆さん、中小零細の商工業者や農家のみなさん、周辺自治体の首長さんなどと力を合わせてこの県政を変えるために頑張ります。

 県民のみなさんのご理解とご支援を切にお願いします。

4、基本政策

(1)県民に親しみやすい県政、県政民主主義をすすめます

(2)大都市集中政策をあらため、周辺自治体や農山村、弱者への気配りのある県政を実現します。

(3)アジアの中心としてではなく、アジアと共に発展し、支援し、共に生きていくふくおかをめざします。

5、私がすすめようとしている県政政策

1、大都市集中ではなく、周辺都市や各生活圏市町村をむすぶ道路・交通ネットワークの整備

2、中小零細商工業者への支援策をつよめ、いきいきとした町づくりを

3、雇用・失業者対策

4、農業・中山間地域問題

5、生活基盤の拡充と整備

6、教育と文化

7、アジアと共に生きるふくおかへ

8、財政政策


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