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組織的犯罪対策法案反対

盗聴法は団体規制法

弁護士・海渡 雄一氏に聞く


 周辺事態法などを効果的なものにするため、反対運動を押さえ込むための一つとして、組織的犯罪対策法(盗聴法)があると思う。盗聴法の内容は、一つは、警察が犯罪捜査の際に盗聴活動をできるようにするものだ。

 しかし、麻薬の密売など本気で犯罪をやろうとしている者が、盗聴法がある下で電話で犯罪の謀議をするはずがない。結局弾圧されるのは、「何も悪いことをしていない」はずの人たちで、権力にとっては「目ざわりな」人たちだ。労働運動や市民運動などは、連絡はすべて電話、ファックス、電子メールだから、権力はその団体について相当深くまで知ることができる。

 これら全てのデータはデジタル化され、警察の中で膨大なデータベースになっていく。こうなると、警察は膨大な情報産業になっていく。しかも、警察しか持たず、どこにも公開されない情報だから、とくに企業情報などにはばく大な利権が生じる。

 組対法の問題点の二つ目は、団体規制だ。マネーロンダリングの規制を口実に、団体のカネの流れを抑える。カネの流れを調べることで、団体の組織構造や、どこがカネを出しているか、どこを抑えればその団体をつぶせるかがわかる。しかも、それが「組織犯罪」にかかわるカネであれば、裁判にかける前にその流れを止めることができる。これでは、裁判前に事実上非合法化されてしまう。労働組合などにはとくに危険な法律だ。

共同して反対運動の発展を

 恐ろしいのは、このような危険な事態が進んでいることを国民が是としているわけではなく、政治的争点にならないので、国民多数が知らない状況で決まっていることだ。

 何よりもやらなければならないのは、以上のようなことが進んでいることをもっと国民に知らせることだ。闘う側に統一戦線ができれば、悪法も止められる可能性がある。盗聴法に関しては、国会内でも自民党以外はほとんど反対なので、前国会では止められた。しかし、運動を発展させ、盗聴法に反対する世論をつくることがいっそう求められている。


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