「広範な国民連合」第６回総会

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「広範な国民連合」第６回総会

商業者、労組など多彩な来賓

激動に対応する方針確立

　自主・平和・民主のための広範な国民連合の第六回全国総会が、十一月二十一、二十二日、名古屋市で開催された。この一年、新日米防衛協力の指針（ガイドライン）問題など国の進路の課題や勤労国民の生活や営業の課題などで、国民連合が国民各層の要求と闘いのよりどころとして、組織も拡大し力強く前進していることが確認される重要な総会となった。総会は、日米安保からの離脱など国の進路の転換、国民生活を守るために、各界各層の共同をいっそう広げて闘うことを議論し、激動の時代にふさわしい方針を確立した。

　国民連合全国総会は、全国二千四百余人の賛同者を代表する各県の代議員、傍聴者など約二百人が参加して開催された。

　はじめに国民連合愛知代表世話人の寺尾光身・名工大教授の司会で、東京、神奈川、愛知、三重の代議員から議長団四人が選出された。福地曠昭氏の開会あいさつに続いて、鈴木礼治・愛知県知事（代読）、石田芳弘・愛知県犬山市長（代理、同市助役）、近藤昭一・衆議院議員、水田洋・名古屋大学名誉教授、奥山喜代司・三重県職労委員長（代読）、浅沼秀夫・藤前干潟を守る会副代表が来賓あいさつを行った。また、衆参両院議員、自治体首長など五十通近いメッセージの中から、福田勝亮・全国電機商業組合連合会会長、全国農業者農政運動組織協議会、河本末吉・全港湾委員長のメッセージが紹介された。

　二日目には、村松孝次郎・静岡市商業近代化協議会事務局長と、樋越忍・国鉄労働組合名古屋地方本部書記長が特別報告を行った。

　村松氏は、「静岡駅前商店街は、大型店出店を許さない闘いの結果、日本でもっとも活気のある商店街として残っている。大店法にかわる都市計画法、大規模店舗立地法、中心市街地活性化法の三法は、これをたてにとって闘うことができる。地元主導の町づくり条例をつくる運動を各地域で起こしていくべきだと思う」と発言し、大型店問題での運動の方向を提起した。

　樋越氏は、採用差別事件での東京地裁判決について、「この判決を悪用して労働委員会が不当労働行為の救済機関として機能しない状況が出てきた。不当判決を無効にする闘いを広げていきたい」と連帯あいさつを行った。

　記念講演では、東京大学名誉教授の隅谷三喜男氏が「変貌する世界経済―アジアの状況と日本」をテーマに講演。「二十一世紀を目前にして、世界経済のグローバリズムが進み、国際社会は一体となっている。米国は情報と金融を握って、リアルタイムで分析して投資するようになっている。その資金の動きは、コントロール不能になっている状況だ。アジア危機もこうしたなかで起こったことで、自由競争、自由経済が万能だという考え方はとんでもないこと。世界最大の債権国である日本は、米国に対して自主的な方向をとれば経済を立て直し世界に貢献することができる」と講演した。

国民要求が反映した活発な議論

　講演の後、加藤毅・全国事務局長から総会議案が提案された。

　加藤氏は、「生活の危機に直面した人びとは、自分や家族を守るために行動に立ち上がらざるを得ない状況となっている。国民大多数の利益を守るために、ますます政治の根本的転換を求めざるを得なくなる。今回の総会の意義は、一年の経験を振り返って広範な国民が連合できることを改めて確認しあうこと、新しい情勢について討議し、認識を深めあうこと、それらを前提にこの時代にふさわしいこの一年の方針を決めること」と述べ、①日本がとるべき政治の基本方向、②国民運動の課題、③国民各層の連合による全国組織の形成の三点についての方針を提起した。

　その後の討論では、三十人以上の代議員が活動報告や、情勢、運動方針について発言し、感動をよんだ。

　福岡からは、十一月三日に行われた「福岡県民怒りの決起集会」について「不況下の中で、危機突破を掲げたことは、労働組合や業者からの広い共感を得られた。失業者が増えていることをただ『大変だ』と思うか、『政治を変える力』と見るかで違う。切実で具体的な要求を、一つでも二つでも実現させることが重要だ」と報告された。

　また東京の女性からは、「不況の中で生活が苦しくなっているのに福祉はどんどん切り捨てられている。自分たちが口に出して、闘っていかなければならない。今ある権利を守れなくて、どうして新しい権利を闘いとれるのでしょうか」と迫力のある問題提起が行われた。

　情勢に関して「日米関係が経済の面からすでに行き詰まっている。この危機に備えるような国民連合を早くつくらなければならない」「アジアの中で日本はどうするか、通貨に対する構想など、新らしい構想が求められている」などの重要な問題提起も出された。

　新しく県組織をつくりたいという発言や、職安に行ってこれほど事態が深刻なのかと涙がでたという発言、学生の中で国民連合の宣伝をし、共感をよんだという青年の発言、また全国総会の準備で国民連合の考え方に共感する人びとが、文字通り広範にいることが実感できたという主催県・愛知の事務局からの発言など、一人ひとりの熱のこもった発言があいついだ。

　これらの討論をうけ、槇枝元文・全国代表世話人がまとめを行った（別掲）。

　議案採択、新全国世話人の選出をし、第六回全国総会は全参加者に感動と意欲を与え、成功のうちに終了した。

討論のまとめ（趣旨）　槇枝元文・代表世話人

　最初に組織形成の問題では、質・量ともに高めていく必要がある。各界から集まっているのだから、温度差があっても、できるだけ多くの人が集まれる課題などを考えてほしい。全国各地での地域組織づくりも進めてほしい。

　また国労名古屋地本から特別報告を受けた。報告にあるように、労資の問題は裁判で決すべきものではない。地労委・中労委の意味がなくなり、国労だけでなく、全労働者の権利にかかわる問題だと思う。このことも重要な提起として受け止めたい。

　介護保険の問題で何人かの発言があった。はっきりしているのは、強制的に掛け金を出させることだけだ。どのように審査するのか、施設、人員はあるのか。金だけ出させられてサービスを受けられないという事態が目に見えているわけで、これも取り組みを強めるべきだと思う。

　提案のあった韓国の労働運動との交流については、いずれ検討してみたい。共同行動については、国民連合は組織も自主・平和・民主であり中央に司令塔はつくらないが、呼びかけや連鎖的な行動を促すことはやっていきたい。

　ロシアの問題が欠落していたので補強する。東アジアの経済圏という考えは財界の中にもある。対米追随で北朝鮮を敵視すべきではない。米国は日本という助っ人なしにはやっていけなくなっている。日本は助っ人と言えば聞こえはいいが属国と同じだ。一国で世界を支配する時代は終わる。民主的な地球世界をめざし、日本はアジアのブロックに軸足を置くべきだ。