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東京

日中平和友好条約20周年記念

古川万太郎氏が講演


 豊島区日中友好協会が、十一月六日、日中平和友好条約締結二十周年を記念して古川万太郎・日中友好協会副理事長の講演会「二十一世紀に向けての日中関係」を行った。講演(一部)を紹介する。

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 日中国交正常化の最大の意義は、両国民の往来ができたことだ。七二年には、日本から中国へ行く人は年に千人程度だったが、九七年には、百六十万人になった。貿易も数十倍になった。日本は不況に陥っているが、中国との関係がなければ、現在の日本経済はさらに悪化していただろう。

 第二の意義は、外交の幅の広がりだ。正常化しなければ、日本の国際的な地位はここまで高まらなかっただろう。アジアで一番力のある中国と仲たがいしていれば、信頼されない。

 第三に、安全保障の面での意義がある。周辺に仮想敵国があれば、軍事力を拡大する必要に迫られる。最近では、日中間で軍事当局間の対話も始まっており、正常化で日本の安全保障は高まった。

 ではなぜ戦後二十七年間も国交正常化しなかったのか。反共主義や台湾との関係が妨げていた。日本は一九五一年以降、台湾政府を中国を代表する政府とした。

 しかし七二年、田中角栄が首相となり、日中国交正常化という日本の進路に重大な決断をした。

 今、二十一世紀に向けて、両国関係の発展には何が大事か考えなくてはならない。とても残念なことに、二年前、日中関係は最悪といわれた。江沢民国家主席の来日を契機に、相互理解の基盤を作らなくてはならない。

 日本側の問題点として、まず歴史認識問題があげられる。閣僚が「先の戦争は聖戦だった」との発言を繰り返すが、正しく歴史を理解していない発言だ。圧倒的多数のアジアの人びとは、日本からの解放を願っていた。歴史の事実を認めた上で、「今の日本はそうではない」と胸を張って言うべきだ。

 第二に台湾問題。日本は日清戦争で台湾を植民地とし、中国と国交を樹立する際に「台湾は中国の不可分の領土」と記すまで、正式に台湾返還の手続きをしなかった。

 さらに、新たな日米防衛協力の指針(新ガイドライン)で台湾を「周辺有事」に事実上含めてしまった。中国からみると、内政干渉である。

 新ガイドラインは、二十一世紀に向けて日中関係が発展できるかどうかの大きな問題だ。日本はもっと自主的になり、国民にとって何がプラスになるかよく検討し、新ガイドラインに台湾は含まないと言うべきだ。


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