二〇〇〇年四月から実施される介護保険に対し、「このまま実施していいのか」との立場から、特別養護老人ホームの施設長などに対し全国でアンケート調査が行われた。呼びかけたのは、神奈川県川崎市の特別養護老人ホーム「緑陽苑」の岸田孝史施設長など三十八人。
提言として「あまりにも問題の多い介護保険法が予定通り実施されれば、大きな混乱を引き起こすことは明らかです。介護保険法の実施を当面延期し、高齢者福祉の基盤整備を先行して充実させつつ、国民的議論を行うことを求めます」と提案し、全国の特養ホームなど四千四百六十六施設にアンケートを発送した。九百五十六通(十月二十二日現在)の回答があった。
この結果、三九%が介護保険に反対し、その多くが公的責任による社会保障制度の崩壊、国民への犠牲転嫁、低所得者への深刻な負担増などの問題点を指摘した。賛成はわずか一割だった。また、八割以上が経営が「厳しくなる」と予測。職員の削減・非常勤化、外部委託拡大などが余儀なくされるとの懸念を示した。特養入居者の負担については、「重くなる人が多い」との回答が八三%に上った。
「介護保険実施延期」の提言に対しては、七〇%が賛成している。
このアンケート調査により、介護保険に対する不満や不安が、福祉関係者の中に大きくあることが改めて明らかになった。
アンケート呼びかけ人会議では、十二月七日に集会開催を予定している。
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