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群馬

「どうなる介護保険」集会

負担増など多くの問題点が

介護保険に渦巻く不満


 シンポジウム「どうなる介護保険 本当に老後は安心か? 今意見を言おう」が、十月二十五日、群馬県前橋市で開かれた。主催は介護保障を考える会(準備会)で、昨年五月の「ちょっと待った公的介護保険の集い」から数えて五回目の集会。

今回は群馬県、県社会福祉協議会、上毛新聞社の後援もあり、自治体の介護保険担当者も参加し、活発な会となった。

 まず、伊藤周平・九州大学助教授が講演し、「保険料が今まで言われていた二千五百円より、相当高くなる見込みがある。保険料が払えない人へは救済措置がなく、時効を過ぎても罰則だけがある。また介護給付の水準が低く、利用者の保険外負担が過大になる。介護給付を利用するためには、利用者本人がサービス事業者に一割の利用料や差額のお金を払わなければならない可能性もある。負担できない人は、認定された介護給付を受けられず、お金を払える人にだけサービスが供給されることも起こりうる」と指摘した。

 さらに、「要介護認定が厚生省のさじ加減によるコンピュータ判定で決まり、市町村の介護認定審査会は、事実上追認機関としてしか機能できない。認定に不服がある場合も、都道府県に一つしかない国保連合会でしか受け付けない。また、特別養護老人ホームの入所者は入院したら即退所となり、病気がよくなっても帰るところがなくなってしまう。サービス事業者への介護報酬が赤字になるほど低く想定されており(特にヘルパー事業に顕著)、サービス事業をてこに資産を持っている年寄りを対象に他の商品の販売で利益を生むようなケースも出てくる心配がある」などの問題点が指摘された。

 伊藤氏は、これらの解決のために市民の会で提言を行ったことを報告。全国各地で意見をどんどんいっていくべきで、最近全国町村会が行った延期要請を支持し、自治体とも協力して見直しや延期を求める運動を広げようと提案し、拍手で確認された。

 続いて、過疎の町で町民の運動によって町が設置したデイサービスセンターが、町民に喜ばれているにもかかわらず、民間法人誘致のために、競争相手を残してはまずいと、廃止され、職員が全員解雇されようとしている実態が報告された。センターを残すためにがんばると、支援の訴えが会場の共感を呼んでいた。

 介護保障を考える会(準備会)は、十二月十三日に結成総会を持ち、介護保険の抜本的な見直しを求めて、国や市町村への働きかけを強めていく予定だ。


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