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銀行支援に60兆円、中小企業対策費にわずか4500億円

この暴挙を許せるか

中小企業の怒りの声を聞け


 全国で中小企業者が危機突破のために相次いで決起している。長引く不況の中、経営が悪化し、倒産は急増しているが、その九九%は中小企業である。さらに、銀行による貸し渋りは資金調達を困難にし、倒産に拍車をかけている。こうした状況で、昨年は二千数百人の中小企業経営者が自殺に追い込まれたという。しかし、政府自民党は中小企業を軽視し、中小企業対策費はわずか四千五百億円に過ぎない。その一方で貸し渋りを強める銀行に六十兆円以上の公的資金―税金で支援しようとしている。政府は、中小企業へ銀行救済資金の何倍も融資を保証し、また労働者の雇用を保証すべきである。労働者、中小商工業者など国民の生活と営業は危機に直面しており、各界は連合して危機突破の要求を政府、自治体に突きつけよう。十月十二日に栃木県で開かれた「中小企業の声を政治に反映させよう―栃木県中小企業危機突破総決起大会」の声を紹介する。

栃木県中小企業危機突破総決起大会開催

政府は強力な貸し渋り対策を

田村 佐重・栃木商工会議所副会頭

 中小企業の資金繰りは極めて厳しく、金融安定化や景気対策の早期実施など、悲鳴に近い政策対応を求める声は高まるばかりである。来年度予算編成にあたっては、信用補完制度、融資制度の拡充、中小企業対策費の思い切った拡充が必要である。

 金融問題については、抜本的な改革が必要である。しかし、そのために貸し渋りの強化につながる恐れがある。これまで政府は貸し渋り対策を何度も行ってきたが、改善されていない。中小企業の資金調達の円滑化に政府のいっそうの努力を求めたい。

大型店は町を破壊しただけ

今井 勝己・矢板市商工会会長

 大型店などの進出によって、地元商店街は年々深刻化している。今日に至っては、商店街の形成さえ不可能なのが現状である。

 商店街は町づくりの中核として地域を形成し、文化をつくり情報を発信するという社会的責任を果たしてきた。しかし、行政の町づくりに商店街の意見が反映されなかった。そのため町づくりに商店街が置いてきぼりにされ、町の顔というべき商店街が失われてきた。

 矢板市でもかつてにぎわった駅前商店街もいまやシャットアウト。大騒ぎをし、やっと落ち着いた大型店も突然撤退していった。町のどまん中に大きな空き店舗が何カ所もできてしまった。

 結局、共存共栄は名ばかりで、町を破壊していった。出店調整の約束は一体なんだったのか。こんなことが日本中で起きている。

 大店立地法によって、地域住民の生活環境の保持などが打ち出されている。自治体が町づくりに対応するためには、立地法を強力に運用することを求める。

 商店街活性化対策は、根本的な対策が必要である。自治体、住民、商店街の協力が必要である。そのために商店街もいっそう努力したい。

外形標準課税による増税反対

柳 勲・県興行環境衛生同業組合理事長

 減税の一方で、地方税である法人事業税に賃金、固定資産などを課税標準とする外形標準課税導入の動きがあるが反対だ。

 これまでの所得金額を課税ベースとする法人事業税を外形標準課税にすれば、赤字法人にまで課税される。そうなれば中小企業は大幅増税となり、倒産や従業員削減など雇用不安や地域経済に打撃をあたえることになる。

 さらに、法定相続人(後継者)に対する相続税の控除額の引き上げ、税率の引き下げなくしては、中小企業を継続できない。また固定資産税については、とりわけ市街化地域の商店はその負担が厳しく、早急な軽減を求めたい。

 これらは単に中小企業対策だけでなく、雇用対策、地域経済の活性化対策でもある。

近年の倒産件数


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