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沖縄

またも米兵のひき逃げ事件

犯人の身柄を引き渡せ!


 十月七日の未明、沖縄県北中城村の国道三三〇号線で宜野湾市内の女子高校生が、酔った米兵の運転する車にひき逃げされ、意識不明の重体となる事件が起きた。海兵隊憲兵隊は、事故を起こした海兵隊員ランデル・エスクリッジ容疑者の身柄を拘束。沖縄県警は八日、容疑者の逮捕状を取り憲兵隊司令官に身柄の引き渡しを要求したが、米軍当局は「起訴前に身柄を引き渡す事案に該当しない」と拒否した。

 九五年九月の少女暴行事件以降、「運用面で見直し」された日米地位協定では、殺人など凶悪事件については、起訴前でも犯人の身柄を引き渡すよう定めている。しかし、今回それは適用されず、相変わらず米軍の横暴が続いている。

 北中城村議会は九日、臨時議会を開き事件に関する抗議決議と意見書を採択した(別掲)。また同日、同村と議会が在沖米国総領事館へ身柄の引き渡しを求めたほか、高教組、中部地区労、沖縄平和運動センターがキャンプ・フォスター前で緊急抗議集会を開いた。

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 この問題に対し、外務省首脳は九日、「身柄は米軍が拘束しており、捜査に支障がでているわけではない。犯行を認めているし、証拠もある」と述べ、現時点では米国に起訴前の犯人引き渡しを求める考えはないとした。

 九五年九月の少女暴行事件を契機に、反基地・反安保の運動は沖縄から全国各地へ広がった。しかし、日本政府は相変わらず米国の顔色をうかがい、国民の切実な要求を無視している。

 米軍犯罪の元凶である米軍基地の整理・縮小、撤去を求める世論を広げ、広範な運動で政府に安保破棄を突きつけよう。


資料

 去る十月七日未明、北中城村内で発生した米軍人による女子高校生ひき逃げ事件は、沖縄県民に大きな衝撃と不安を与えた。

 戦後五十年余、沖縄県は膨大な米軍基地を抱え基地機能は益々強化の一途をたどっている。それにともなって米軍人による犯罪や米軍演習による事故は後をたたず発生し、米軍当局はそのたびごとに米軍人の綱紀粛正と再発防止を約束しながらたびかさなる凶悪事件の発生は県民に対する占領意識と人命軽視のあらわれであり、人道上断じて許す事はできない。

 また、被疑者の取り調べにあたり米軍当局が身柄を拘束する事は、我が国警察の犯人取り調べに大きな障壁となっている。

 よって北中城村議会は、米軍人による女子高牧生ひき逃げ事件に関し、米軍当局並びに関係機関に対して激しい怒りを込めて抗議すると共に今後かかる不祥事が起こらぬように下記事項について強く要請する。

一、被疑者の身柄を早急に日本側に引き渡すこと。

二、米軍人の綱紀粛正を徹底すること。

三、被害者に対し完全な補償をすること。

以上、決議する。

九八年十月九日 北中城村議会


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