980925


資料

「ミサイル」口実の朝鮮敵視政策に対し

朝鮮総聯が声明(要旨)


 支配層は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の「ミサイル実験」を口実とした北朝鮮敵視策動を強めている。これを背景に、在日朝鮮人・団体などに対するいやがらせが相ついでいる。

 東京の在日本朝鮮人総聯合会中央本部には、右翼団体の街宣車が連日押しかけている。民族学校や生徒へのいやがらせも多発、女子生徒が殴られる事件も起きた。

 北朝鮮への食料支援のために十二日に予定されていたチャリティーコンサートは、会場の店に「中止しないとただじゃおかない」などの脅迫電話があり、中止に追い込まれた。

 また、九月十一日には東京・東中野の映画館で、映画「金日成のパレード」のポスターが掲示されていたショーウインドーにペンキがかけられた。

 これらの事件の背景である支配層の北朝鮮敵視政策をうち破ろう。

 以下、朝鮮総聯が九月十四日に発表した声明(要旨)を紹介する。


声明(要旨)

 朝・日両国は平和で共存・共栄する善隣友好関係を樹立するため互いに努力してきた。

 しかし、いま日本では共和国の人工衛星打ち上げを契機に憂慮すべき事態が起こり、友好の情にひびがはいりつつある。

 八月三十一日、わが国は人工衛星「光明星第一号」の打ち上げに成功した。

 今回の打ち上げは、ロシア宇宙飛行追跡センターがその成功を認め、中国の新華社通信も確認した。さらに九月十日、米上院外交委のトーマス東アジア・太平洋小委委員長は「米航空宇宙局は北朝鮮が人工衛星を軌道に乗せたとの見解をもっている」と述べた。

 ところが日本政府は、不確かな情報に基づき「弾道ミサイル発射」と断定し、わが国に対する「厳重抗議、国交交渉・食料支援の見合わせ、KEDO凍結」とする厳しい政府方針をうちだした。さらに名古屋―平壌間チャーター便の運行取り消し、政府の内部では、在日朝鮮人の送金停止・資産凍結、貿易制限、渡航禁止などの「追加規制措置」が論じられ、「在日朝鮮人は人質だ」という暴言まで飛び出した。

 日本政府の強硬姿勢やマスコミの過激報道を背景にして、一部の右翼や心なき人たちによって在日朝鮮人に対する暴力や日朝関係者に対する脅迫行為が頻発している。

 こうした暴力の矛先は朝鮮学校に通う生徒たちに向けられ、カミソリを添えて「死ね」との脅迫文が送られてきたり、「チマチョゴリの女子をら致してやる」などの脅迫が全国各地で相ついでいる。これらは在日朝鮮人の基本的人権と生命を脅かすものだ。

 日本の過剰反応ぶりを懸念する声が大きくなりつつある。とくにアジア諸国は、日本で「戦域ミサイル防衛構想」や「有事法制」が声高に叫ばれていることに警戒の目を向けている。

 私たちは、日本政府当局が「規制措置」なるものを速やかに撤回することを求める。

 また、日本政府が、一部の右翼や心なき人たちによる在日朝鮮人の人権と生命を脅かす行為、とりわけ朝鮮学校の生徒たちに対するいやがらせ、暴力を取り締まる措置を緊急に講じるよう要求する。


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