980925


政府は中小商工業者を救え

地域経済は存亡の危機

全国で中小商工業者が決起


 わが国経済は危機的状況にあり、中小企業は倒産、廃業が相つぎ、存続をかけたギリギリの経営に追いつめられている。とりわけ地場産業、商店街は地域経済の基盤であり、その支援対策が急がれている。だが、政府は長銀への公的資金―税金投入など、大企業・大銀行優遇を続け、中小商工業者には大規模小売店舗法廃止や銀行の貸し渋りなどの犠牲を押しつけている。こうした中、熊本県で「中小企業危機突破地方集会」が行われ、今後各地でも同様の大会が予定されている。集会と小売商の声を紹介する。

熊本

商工4団体 中小支援を要求し決起大会

 熊本県商工会議所連合会(月田哲雄会長)など県内の商工団体は四日、熊本市のホテルで中小企業危機突破地方集会を開き、中小企業に対する予算の拡充と税制改革などを政府に求めることを決めた。

 集会は、同連合会のほか、県商工会連合会(魚住汎英会長)、県中小企業団体中央会(與縄董会長)、県商店街振興組合連合会(布田龍吉会長)の三団体が開き、約三百人が参加した。

 要望は「今日わが国経済は、危機的と言うべき極めて深刻な状況に陥っており、中でも中小企業は、企業の存続をかけ雇用の維持を図りつつギリギリの経営を続けている」と、中小企業の実情を訴えた。そして「国内経済の閉塞(へいそく)感を打破するには、地域産業を支える中小企業の活性化が不可欠だ」と強調し、長引く景気低迷で厳しい経営環境にある中小企業振興のための条件整備を求めている。

 具体的には、(1)金融機関の貸し渋り対策や中小企業金融対策の強化、(2)ベンチャー企業支援、(3)法人所得課税の実効税率の四〇%程度への引き下げ、(4)空き店舗対策など商店街の活性化対策の強化―などを求めている。また、街づくり対策として中心市街地活性化対策の大幅な拡充、中小商業活性化基金の積み増しなどを挙げた。

 四団体は要望書を、県内選出の国会議員や福島譲二・県知事、三角保之・熊本市長に提出し、早急な支援策の実施を求めた。


地域支える中小企業に支援を

景気対策・税制改革並びに街づくり対策に関する要望(要旨)

1.景気対策

・99年度の予算編成に当たっては、厳しい経営環境にある中小企業の経営基盤の強化を図るとともに、その意欲的な取り組みをいっそう支援するため、中小企業対策費の思い切った拡充をされたい。

・不良債権の抜本的処理を促進するとともに、中小企業信用補完制度の抜本的拡充、マル経融資などの各種制度融資のいっそうの充実、金利免減措置の再延長など、貸し渋り対策をはじめ中小企業金融対策をさらに強化されたい。

2.税制改革

・法人所得課税の税率の引き下げに応じて、中小企業の軽減税率を引き下げるとともに、その適用所得限度額を引き上げられたい。

・当面、減税財源の確保に名を借りたいかなる増税も行うべきでない。また、法人事業税への賃金などを課税標準とする外形標準課税の導入には断固反対である。

3.街づくり対策

・街づくり関連三法は相互の整合性を確保しつつ施行・運用されたい。

・大規模小売店舗立地法で定める指針は街づくりの重要性にも十分配慮して策定されたい。

・中心市街地活性化対策を大幅に拡充・強化するとともに、国・地方公共団体における実施体制を整備されたい。

・空き店舗対策など商店街などの活性化対策をいっそう強化するとともに、中小商業活性化基金事業を99年度以降も継続し、基金の大幅積み増しを図られたい。 


規制緩和は米国と財界のため

川崎市 小売商

 労働新聞前号の「商店主の無念の死を悼む」という記事があり、前日まで商店街の行事の準備をしていたとあった。その気持ちはよく分かる。商店主はいくらきつくても弱みはみせたくない。一生懸命にやっている自分の仕事、人生が負けだと思われるからだ。

私の店でも問屋が来て「取り扱いが少ないので、以降取り引きしない」と言って、清算した。問屋にしても、商店がつぶれているので商売相手が少なくなって、バタバタ倒産している。特に小さな商店を相手にしている問屋は、相手もつぶれ、扱う品物も減っているのでつぶれてしまう。

 一方で、スーパーは売り上げが減ったので夜九時まで開けるとか、休日を減らすとかいっている。そのため小売商はもっと打撃を受けている。スーパーは売り上げが減ったというが、商店はどれだけつぶされたかと言いたい。

 しかもスーパーは酒、クリーニング、写真などありとあらゆるものを置いて、その上営業時間を延ばすという。これじゃだまっておれないと商店街は感じている。

 だから、規制緩和で自分たちがどうなったかが、分かってきた。つまり、規制緩和が米国と日本の財界のためのものだったというのが、商店主にも分かりだした。

 消費税を上げたり、大店法を廃止した政府に、商店主は文句を言いたい気持ちがいっぱいだ。


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