北海道
本土五カ所の演習場に移転された沖縄の米海兵隊による実弾砲撃訓練が、九月十六日から北海道・矢臼別演習場で始まる。これに反対し、連合北海道は六日、演習所のある別海町で「米軍実弾演習の矢臼別移転反対全道集会」を行った。集会には五千人が参加。連合北海道の渡辺健一会長は「政府は『沖縄の痛みを分かち合う』と説明しているが、沖縄の基地の整理縮小は進んでいない。米軍は軍事拠点の確保を求めている」と、訓練の即時中止を訴えた。
集会後、参加者は町役場までデモを行い、演習反対を訴えた。
また、同日、日教組と北海道教職員組合も集会とデモ行進を行い、連合北海道の集会に合流した。
新ガイドラインに反対し、米軍基地撤去を求める闘いは全国に広がっている。
集会アピール (抜粋)
われわれは、沖縄の県道一〇四号線越え実弾演習の国内移転について、在日米軍の規模縮小と「日米地位協定」の見直しを求めるとともに、北方領土返還の実現を阻害することから、国に移転反対を強く求めてきた。
また、北海道知事をはじめ、地元自治体も、再三にわたり、被害の防止や住民生活の安全のために諸対策を求めてきたが、なんら誠実な回答がない。地方自治を否定し、住民意思を無視する政府の姿勢に断固抗議する。
この移転演習が、沖縄では中止していた夜間演習を含むことや、射撃数で沖縄を大幅に上回りつつあることなど、単なる移転ではなく国内への際限のない拡大であることは明白となった。
われわれは、この矢臼別における米軍移転演習や、昨年の米空母インディペンデンスの小樽寄港をはじめとする、道内一般港・民間空港の軍事利用の拡大など、道内における軍事的行動の膨張が、隣国国民の疑念を拡大し、国際関係を複雑化させ、今未曾有の危機に瀕する道内経済と道民生活をさらに脅かす事態になることを、強く危ぐする。
われわれは、今後も日米安保の質的転換を促進し、世界の平和と軍縮を求める運動をさらに強めることを誓い、世論の喚起に総力を挙げる。
900人が総決起集会
北海道教職員組合 共闘部長 岩間 克宏氏
九月六日に、日教組と北海道教職員組合が主催して総決起集会とデモ行進を行い、九百人が結集、連合北海道主催の集会に合流した。
沖縄と連帯して闘うことを基本姿勢に、米軍の基地は「移転」するのではなく、米国本国に持って帰れというスタンスで闘っている。
矢臼別演習場は横十キロメートル、縦三十キロメートルの広さがあるので、一五五ミリりゅう弾砲で最大射程距離三十五キロメートルの訓練では、火薬の調整をしないで打ち込めるということで、実戦向きの訓練ができる。そのため、沖縄で今まで行われていた訓練の砲撃数とほぼ同じ数が、矢臼別だけでやられている。
また夜間演習もやられてしまっている。このような実態から、矢臼別での演習の固定化を危ぐしている。
演習が移転されてから、演習場内に思いやり予算で水洗トイレが作られた。もともと陸上自衛隊の演習場なのだが、「米軍のために作った」ということで、この水洗トイレは自衛隊は使えない。
今回の演習でも、米海兵隊員の輸送に民間空港である釧路空港が使われた。また、飛行機は民間機が借り上げられて使用された。
国会に提出されている周辺事態法案では、民間空港や港湾などの施設の使用に応じなかった場合の罰則規定はないが、港湾法では罰則規定がある。それを適用されてしまえば、その施設で働いている人は拒否できないという状況になる。今回の民間空港や民間機の使用は、周辺事態法の先取りだ。
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