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米空母

母港化反対に3200人が集会

新ガイドライン、関連法案反対 闘いを強めよう


 一昨年の安保共同宣言以来、わが国政府は米国の「東アジア戦略」に沿って、新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)の関連法案である周辺事態法などの整備、名護市沖海上ヘリポート基地建設を急いでいる。発足した小渕政権も米国にその整備などを再三迫られ、「周辺事態法などの整備は重要課題」とし、強行を策動している。そうしたなかで、米空母キティホークが八月十一日、横須賀を母港として配備された。横須賀基地は、二十五年前に空母ミッドウェーの母港となって以来、米国の海外における唯一の空母の母港となっている。激動するアジア、中東地域への支配維持のため、沖縄とともに米世界戦略の要となっている。当日、「米空母キティホーク強行入港抗議!横須賀母港化反対神奈川県民集会」が、横須賀の臨海公園で開かれた。集会には横須賀地区労傘下の三浦半島教組、横須賀市職労をはじめ、新潟、群馬、埼玉、千葉や東京からも私鉄、全逓、全港湾、全水道などの労働組合員など三千二百人が参加した。新ガイドライン具体化と法整備に反対する闘いを、全国で強めよう。

横須賀は安保強化の歴史

横須賀地区労議長 矢納 直彦氏

 米空母の母港化の二十五年は、米軍基地の恒久化、安保強化の歴史であった。横須賀基地の歴史は日米軍事同盟の歴史そのものである。そして新ガイドラインによるなし崩しが、昨年の米空母ニミッツの入港であり、北海道小樽へのインディペンデンスの入港であった。キティホークも、九月にはまた小樽港へ入るという。新ガイドラインの地ならしが着実に行われている。

 湾岸戦争の際に、米司令官は「(横須賀を母港とする)インディペンデンスは中東に出撃する」と公言している。これが、安保条約、新ガイドラインの実態である。

 新ガイドラインに伴う周辺事態法、有事法制などの動きもあり、注視していかなければならない。米軍基地に反対し、基地撤去、安保条約を破棄する運動は、ますます重要になっている。

 キティホークは二〇〇八年頃には退役するが、その時には原子力空母が主力となる。すでに米軍は、横須賀基地の空母停泊用の十二号バースの延長を「思いやり予算」によって行う計画を打ち出している。明らかに横須賀基地を米原子力空母の母港にするための準備である。米軍の動きは、どんなに小さなことでも見逃さず、即座に運動に取り組める態勢づくりが重要であり、地区労として緊張して取り組んでいきたい。


運動は自らの命、地域を守る

沖縄平和運動センター事務局長 仲宗根 義一氏

 昨年、全国三十三都道府県から代表が集まり、反基地闘争の司令部、「全国基地問題ネットワーク」を結成した。

 今年の原水禁大会では、なぜ日本が米国の核の傘の下にいるのかという、批判が強く出された。そうしたなかで、米空母キティホーク母港化反対の運動が闘われている。この運動は、私たち沖縄も同じだが、自らの命、地域、そして文化を守る運動である。

 沖縄県民は戦後五十三年間、一度も米軍基地を認めていない。しかし、政府は沖縄の古い米軍基地を新しくつくり替えようとしている。一兆円もの税金を投じてつくろうとしているのが、名護市沖の海上ヘリ基地である。

 名護市民は海上ヘリ基地に対し、住民投票でノーの意思を示した。県知事も反対の態度を表明している。沖縄は国策でほんろうされ続けてきたが、住民には反対を貫いた輝かしい歴史でもある。

 われわれは、一昨年の安保再定義から新ガイドライン、周辺事態法などの動きに、強い憤りをおぼえている。

 横須賀基地は沖縄の基地とともに米軍が世界人民を殺戮(さつりく)する基地であり、それに加担することは許されない。それぞれの現地でいっそう闘いを強め、基地をなくすためにがんばろう。


静かで安全な空を返せ

土屋侯保・大和市長

 空母艦載機騒音に対する危ぐから「空母交代、母港化の継続は容認できる状況にはない」と意思表示をしてきており、横須賀入港は誠に残念。既に先週末から艦載機が飛来し、騒音は市民を苦しめている。騒音問題の抜本的解決のため、積極的に対応していきたい。

見上和由・綾瀬市長

 日ごろから基地周辺住民は艦載機騒音で耐え難い苦悩を強いられている。キティホーク配備によって引き続き激しい騒音が予想され、静かで安全な生活を望む市民の気持ちが無視されるのではないかと憂慮している。

(空母艦載機の騒音に抗議する厚木基地周辺の市長の談話)


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